カハタレ日誌

カハタレの稽古の様子

20211107みんなたくさん書いてきたの巻

20211107参加者、稲垣、桐澤、丹澤、南出、木嶋

 

南出、丹澤、いる。

稲垣、入ってくる。

 

稲垣

いやー、ね、いやー、

 

丹澤

どんなテンションだよ、

 

稲垣

いや、全然書けなくてさ、戯曲、

 

丹澤

わたしめっちゃ書けたよ、

 

南出

僕も書いてきた、

 

稲垣

すごー、いや、なんか全然あれなんだよね、苦しんでた、一週間、戯曲のこと考えてもすぐ俳句のこと考えちゃって、

 

南出

めっちゃ俳句にはまってるやん。

 

桐澤、入ってくる。

 

稲垣

ウスウス

 

桐澤

うすー、

 

・ヨガする。

・先日見た徹平さんの日本舞踊落語の話する。

 

桐澤

日本舞踊一時期習っていたけど、すごいインナーマッスル使って大変やったよ、

着物であまり見えずらいけど、やってる人本当にすごいねん!

 

みんな

そうなんやー

 

稲垣

着物ってすごい重いし、稽古の時着れなくて、本番でいきなりその重さやから大変らしいよ、撤平さんが言ってた。

 

みんな

すごいなー、

 

稲垣

なんか、五反田怪談見に行って、普通にエピソード怖くて、

 

南出

あー、俺も行ったことあるかも

 

桐澤

わたしもあるわ、

 

稲垣

普通に怖い話するけど、良い?

 

南出

え、今するの?

 

稲垣、怖い話するけど、全然みんな怖がらない。

 

稲垣

え、怖くないの?

 

みんな

え、うんいや、怖かったよ、

 

稲垣

五反田怪談、最後の演劇っぽい話、語り手が演じ手になって、演じ手が語り手になるっていうのが、スムーズというか自然というか、すごかった。

 

桐澤

すごいよね、チェルフィッチュの切り替わり方とまた違うよね、

 

稲垣

ちょっと申し訳ないんだけど、先日、鴇田智哉さんとオルガン同人のメンバーで行われた俳句講義がめっちゃ面白かったから共有していい?

 

みんな

え、うん、いいけど、

 

  • 俳句講義が行なわれる。

1、簡単な言葉にする

2、逆を考えてみる。

3、主語を気にする。

4、見えた気がしたものを読んでみる。

 

この四つの要素に従って、作られた句の添削していくという鴇田さんの講義をそのまま伝えようとしたけど、みんなそれぞれの納得の仕方や見方があって、大変良い時間になりましたとさ。

ちょっと全部ちゃんと書きたいけど、長くなるので、、またちゃんと機会あればまとめますわ。

とにかく俳句ってめっちゃ面白いって内容です。

 

 

みんな

いやー、すごい、おめでとう、楽しかった、今度、句会しよう、ていうか今日句会しよう。

 

稲垣

え、じゃあ今日句会しようか、時間余ったら、

 

みんな

ういーす、うすうす、

 

稲垣

じゃあ、まあ、書いてきたの読むか、南出君の読むか。

 

  • 南出君の書いてきたものを読む

 

シーン①岩村・山下

 

岩村

犬、知ってる?犬、飼ってるんだけど、可愛いよ、犬、三郎って名前なんだけど、チワワなんだけど、白い、ちっちゃい、犬、飼うまでは、全然興味なかったんだけど、サブちゃん、飛びかかってくるからね、玄関開けると、はっはっはっは来るからね、もうさ、超ラブリーよ、ちょっと臭いけど、ちょっとなんかドッグフードの匂いと電車の椅子みたいな生地のソファが湿気てカビくさくなったみたいな臭いと、口の臭さと皮膚の匂いとが混ざった感じの臭さあるんだけど、その臭さも含めて超ラブリーよ、もう気分もラブリーだもん、気分も世界もラブリーだもん、犬いると、犬、いいよ、犬、飼いなよ、俺、サブちゃんの話してるだけで、ちょっと元気でるもん、にやけてきてるもの、今、あ、そう、あとね、犬ね、あったかいから、どこ触ってもあったかいから、特に腹、あ、でも足もいいよ、コリコリしてて、でもやっぱ腹ね、フニフニしてて、いやー、すごいよ、犬、あ、犬じゃない?、正直この世の中で、って言うかこの世界で、一番あったかいものって犬じゃない?って今思ったんだけど、どうかな?

 

山下

うーん、どうだろう、

 

岩村

って言うか、むしろ、世の中にあるあったかいものって実は犬だけなんじゃない、

 

山下

や、だって、肉まんとか、

 

岩村

いや、わかるよ、肉まんとかあったかいのわかるよ、だけど本当は実のところ肉まんは冷たいんじゃないかね、って、カモフラージュのあったかさってのがあって、犬の腹のみが真のあったかさなのではなかろうか、って、

 

山下

うーん、ホットミルクとか、

 

岩村

それはもう、熱いじゃん、ホットじゃん、あったかくないじゃん、

 

山下

あったかいけどなあ、

 

岩村

いや、わかるよ、肉もんもホットミルクもホットレモンもホットコーヒーもあったかいのわかるよ、

 

山下

あと、コタツとか、

 

岩村

そう、コタツもね、あったかいよね、電気毛布も電気ストーブもガスストーブも、

 

山下

あと、お湯ね、

 

岩村

そうだね、お湯ね、あー、お湯、お湯かー、お湯、は、あったかいわ、むしろ犬よりお湯の方があったかいかもしれない。

 

山下

ごめん何の話?

 

岩村

温泉行きたいね、

 

山下

行きたー。

 

   スタバのコーヒー飲む

 

岩村

犬、呪われてんだ。

 

山下

は?

 

岩村

犬、サブちゃん、呪われてんだ。

 

山下

え?は?呪われてるって何?

 

岩村

最近鳴き声に元気がないんだ。

 

山下

え?は?呪われてるって誰に?

 

岩村

妻に。

 

山下

妻に?

 

岩村

温泉行きてー、

 

山下

温泉は行きたいけど、

 

岩村

山ちゃんが温泉なんて言うから温泉行きたくなっちゃったじゃない。

 

山下

温泉はイワムラーが言い出したんだよ、急に。

 

岩村

あ、そうか、山ちゃんはお湯って言っただけか?温泉とか行く?

 

山下

うーん、行きたいんだけどね、ほら、妻がね、あんまり好きじゃなくてね、

 

岩村

あー、妻ね、温泉好きじゃない妻っているよねー、

 

山下

温泉というより旅行が好きじゃないんだよね、

 

岩村

あー、いるいる、旅行が好きじゃない妻っているよねー、

 

山下

だからむしろ、どこでもドアが欲しい、犬よりもむしろどこでもドアが欲しい。

 

岩村

どこでもドア?

 

山下

どこでもドアでドアトゥドアで温泉行きたい。

 

岩村

めっちゃお湯好きじゃん。

 

山下

旅行なんて本当良いことないよ。

 

岩村

あー、それかも。

 

山下

え、何が?

 

岩村

犬、呪われてる理由それかも。

 

山下

ん、犬、呪われてる理由それ、ってどれ?

 

岩村

旅行旅行、

 

山下

あー、えっ、そもそも犬、呪われてるってどういうこと?

 

岩村

見ちゃったんだよね、

 

山下

うん、

 

岩村

夜、俺いつも十時に寝るんだけど、いつも妻は俺より寝るの遅くて、いつ寝てるのか俺先に寝ちゃってるからわかんないんだけれども、夜、トイレ行きたくなって目覚めて、あ、夜間尿ってあれらしいよ、一回でも寝てる時目覚めてトイレ言ったら夜間尿なんだって、ラジオで言ってた、膀胱衰えてるんだって、いや、最近膀胱ひどくてさ、尿漏れとか、ある?

 

山下

尿漏れはないよ、

 

岩村

えー、何、トレーニングとかしてるの?

 

山下

や、尿漏れの話どうでもいいよ、

 

岩村

お前尿漏れの話結構大事だぞ、今後の人生に関わる話だぞ、

 

山下

犬、呪われてる話聞かせて。

 

岩村

あ、そうそう、サブちゃん、かわいそうに、サブちゃん、なんか見ちゃったんだよね、夜間尿で起きた時、妻、犬、呪ってるの、なんか微かに音聞こえてきてて、隣の部屋から、隣の部屋、あれなんだけど、なんて言うの、横にスライドさせるドア、なんて言うの?

 

山下

ふすま?

 

岩村

ふすま、なのかな?、ふすま、さ、ちょっとさ、そーっとさ、開けてさ、開けたら妻、いてさ、

 

   芽衣子、いる。

 

岩村

なんか、ブツブツ言っててさ、

 

芽衣

ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ、

 

岩村

うわー、なんかブツブツ言ってるーって思って、

 

芽衣

ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ、

 

シーン②メデイア呪い

 

(メデイア、チワワと向かい合う)

どんな因果かわかんないね、あなたと出会ったのも。ここまで育ててきたのも、無駄だったのかな。うっかり頭をうったみたいに、突然ふっと思い出しちゃう。あなたと一緒に沈んでいった渦の底で、一生過ごすっていうこと。沈んだ先にはいろんなものが積もってて、なんだろうって思うと、それは言葉。わたしの人生を台無しにしたものの一切に復讐する、呪いの言葉。

 

あなたの目が嫌。あたしのことを見ているようで見ていない。それでいて、他の誰かを見ている時、その目に光が宿るのがムカつく。何にも見えなくなっちゃえばいいのに。あなたの指が嫌。爪垢が溜まった指先をみるとゾッとする。そんな指であたしにさわんないでね。指を一本ずつ折ってやりたい。それはやりすぎか。指十本全部深爪になればいい。あなたの歯が嫌。1ヶ月掃除してない便器みたいに黄ばんじゃって。コーヒーの飲み過ぎじゃないの?虫歯と歯槽膿路と知覚過敏の三重苦になればいいのに。あなたの唇が嫌。小学校にあった遊具の古びたペンキを思い出す。カピカピに乾いてひび割れて。ビタミンが足りないのよ。そうとは知りながら肉ばっかり食わせてやる。あなたのへそが嫌。覗き込むと怖い。蟻地獄かよって思う。奥に黒々しているのは血の塊なんじゃないかと思う。耳かきで荒っぽく掻き出して、2〜3日腹痛になればいい。

 

シーン①岩村・山下

山下

それさー。犬が呪われてるんじゃなくない。

 

岩村

え、どういうこと

 

山下

呪われてるのさ、多分、お前だよ。

 

 

シーン③

 

山下 ていう、うけるよね。

 

あや え、あ何が?

 

山下 え、びっくりじゃない?犬呪われてると思ったら、自分が呪われてたっていう。

 

あや あー。

 

山下 え、どうしたの。

 

あや え、別にどうもしないよ。

 

山下 なんかまた怒ってる?

 

あや またって何?

山下 いや、

 

あや なんか、前にさあ、仕事疲れてて、夜ご飯、もうお弁当でいいよねってなってさ、私がほか弁でのり弁買ってきてっていってさ、買ってきてくれたはいいけど、ソースと醤油選べるじゃない?私さあ、いつも魚のフライは醤油で食べるのに、アジとか。絶対ソース貰ってくるの。しょうがないからさあ、家の醤油かけるわけ。だからさ、ソース余っちゃって、なんか、いっぱい溜まっちゃってるんだよね、冷蔵庫の隅に。使わないで捨てるのもあれかなーって思って、とっとくんだけど、やっぱ使わないっていう。あれどのタイミングで捨てればいいんだろうって、え?どうおもう?

 

山下 え、ちょ、ちょいちょい。なにそれ、それ今関係ある?

 

あや え?え?何が?

 

山下 え。怒ってんのと関係、ある、それ。ソース。

 

あや 何言ってんの?だから、あの日さ、空がきれいだったんだよね、夕焼けがまだ夕焼けじゃなくって、赤とオレンジと青が全部あって、雲はゆっくり流れていて、わたしはビニール袋を持っていて、中に入った大根がじわじわ重くなっていて、ああ、きれいだけど、腕痛いし、早く帰りたいなあ、みたいな気持ちもあって、でも帰ったころにはもう夜になっちゃうかって、だから、大根は重いけど、わたしもゆっくり歩いて帰ったほうがいいんだなあって思ったから、急ぐのやめたんだよね。

 

山下 ごめん、それ何の話?

 

あや は?だから、さっきからいってるけど、っていうか、もう何度目かもちょっとよくわかんないけど、ずーっと入れっぱなしなわけ。え?ティッシュだよティッシュ。多分さあ、花粉の時期とかにポッケ入れて、そのあとずっとね。いれっぱで。そうするとさあ、使えばいいけど、使わなかったらずっと入れっぱなしで、最後それ入れっぱなしだったらどうなるっていうと、ね、洗うよね、誰が?私だよねえ。するとどうなるって、あーあ、大悲劇が起きるよね。

 

山下 あ、そういうこと、わかったわかった。もう、謝ったじゃん。やり直しの洗濯、俺がやったし。

 

あや え?今更そんなことで怒るわけないじゃん。

 

山下 違うの?

 

あや 違うよ、だからね、朝、早く出て、夜、遅く帰ると、変わっていることと変わっていないことがあって、変わっているのは、テーブルの上にデリバリーの空いたプラスチックのケースがあったりとか、冷蔵庫の麦茶が残り1.5センチまで減っていることとか、シンクの中にお茶碗とお椀とお箸が一セットあることとか、変わっていないのは、明かりがついていることとか、部屋の窓が開いてカーテンが揺れてることとか、ひとり布団で寝てる人がいることとか、なんかそういうことが変わっていないんだけど、なんかもう遅いからさ、お風呂入って寝ようかなと、そうやってお風呂入ると、シャンプー切れてて、なんかああ、シャンプーはなくなっちゃったんだなあって思うけど、もうびしょびしょだし、ストック取りに行くの面倒だし、ボディソープで髪洗っとくかって、洗うとそれなりにキシキシして絶対失敗明日髪爆発ってわかってるけど、もう眠いし、いいやってなって、むりやりコンディショナーして、これでいいことになるような気がするし、実際翌朝にはなんかそれなりに毛先だけビョンビョンくらいでどうにかなったから、まあいいやってなって、それで、次の日もまたシャンプー切れてるんだけど、もう面倒くさいから次の日もボディソープでシャンプーして、毛先ビョンビョン、もはやビョンビョンでいいやってむしろビョンビョンしてるのが普通なのかもって思ってくるっていうか

 

山下 ちょっとまって!ずっと何を喋ってるの?全然話関係ないじゃん。シャンプーとか。俺、関係ないでしょ。

 

あや え?何で関係ないって思うの?

 

山下 俺のせいじゃないよ。

 

シーン②(メデイア、チワワと向かい合う)

あー、さぶちゃん、さぶちゃん、見つめ合ってるね。あたしとさぶちゃん、見つめ合ってるね。運命はぐるぐる回る車輪のように、あなたと出会って恋をして、さまざまに骨をおって、苦労に身をすりへらしたのに、今度は別の生活に入って行こうとしている。ねえ。おっきくなったね。あなたがうちに来た時のこと覚えてる?どっちから言い出したかもう忘れちゃったけど、犬でも飼おうかって。二人でいても、間がうまんないって感じだったから、あのときは。だからあなたがきてくれてよかった。ペットショップであなたを見た時、忘れられない、あなたの目を見たの。ね、あなたの目、「あ、この人、わたしとおんなじだ」って、「人生が孤独だってわかってる目だ」って。そんな目だったのね。なんか。だから、あなたにしたの。おかしいね、あの人も同じだと思ったから、結婚したんだけどね、もう、別のとこいっちゃったなって。あの人からしたらあたしがいっちゃったって思ってると思うけど。

 

あや 「裏切られた」って顔したでしょ。ね、あの時病院で。

 

山下 え、何が?

 

(メデイア、チワワと向かい合う)

子供のこと、わかったとき、一瞬の表情であたしわかっちゃった。「裏切られたな」ってね、どっちがだよ。向こうも、「あっ、俺いまやばい顔しちゃった」って気づいたんだろうね、すぐさまいつもの、申し訳なさそうな、情けない笑顔つくってさ。あたしに、こう言った。

 

山下 大丈夫だよ

 

あや 大丈夫ってなに?

 

(メデイア、チワワと向かい合う)

その日からはもう、渦に飲みこまれちゃった感じで、気づいたら、なんか、底、みたいな、あ、これ底だよね、あたしたちいるの。でも二人ともそれを口には出さなくて、なんかもう、ちゃんとした、会話ができなくなってて、いや、当たり障りのないことはしゃべるよ。旅行の話、温泉の話、アジフライのソースの話、あの日の夕焼けの話。あなたが花粉症で目薬をさすのが下手な話、ボディソープで髪を洗った話、ドアを開けると部屋のカーテンが揺れてた話。ね、だから、会話?はしてるね。会話はしてるの。でも、ね、さぶちゃん、沈黙って二種類あるって知ってた?ひとつは言葉が一言も話されてない時、もう一つは無意味な言葉がただずっと喋り続けられてるとき。だって。もうじゃあずっと喋ってようか。ね、べらべらべらべら。あなたあなたあなた。あなたの何を恨んでいるか、あたしもう忘れてしまいたい。ただただ空虚な言葉によってあたしたち、まるごと上書きしてしまいたい。そうしてあたしたち、一緒に言葉によって飲み込まれてさ。最後は、ね。沈黙。

 

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みんな

おおー、

 

南出

今までみんなが書いてきたのをまとめたって感じで、丹澤さんの前回書いてきたチマチマした恨みを、メデイアでなく、一般人的な綾に読ませたらどうかと。

 

稲垣

あーいいね、

 

南出

あと、呪う理由がわからないっていう問題があったので、二人の間に子供ができないのか亡くなってしまったのかっていうのを匂わせる形で入れて、メデイアのチワワに語るモノローグとオーバーラップしていくって構成にしました。

 

稲垣

いやー、すごい、一つの形としてできたって感じしますわ。

チワワに語るっていうの怖くて面白いね。

沈黙って二種類あるよね、っていう、その人にだけめちゃくちゃ信じられるものに行き着いてるのがすごくいいよね。

 

南出

あれは、ちょっとハロルドピンターのセリフを咀嚼した。

 

桐澤

丹澤さんの前に書いてきたのって、具体的だけど普遍的って感じで面白いよね。

 

南出

そうー、そこからグッと深刻なものにしたかった。

 

丹澤

あと、南出君の前に書いたのを現代語化して、わかりやすくなったというか笑えるようになった。

 

南出

これをもとに足したり引いたりしてできるかなあと。問題は岩村が空気になるってことかな。

 

稲垣

その問題ずっと前からあるよね、

 

桐澤

ちょっと、わたしは呪いの理由について書いてきたので、次読んでも良いですか?

 

みんな

オッケーオッケー

 

  • 桐ちゃんの書いてきたものを読む

 

こんな風に年を取るとは思っていなかった。今頃は郊外の一軒家、汚れの目立たない最新の壁で施工した一軒家に住んで子供は2人。下の子が3歳になったら幼稚園に預けて契約社員から社会復帰して。小学生になるころには正社員採用であの人と二人ダブルワークしてるのが私だと思ってた。子どもたちがねだったら柴犬かトイプードルを飼おうと思ってた。

服はユニクロジーユーとモードオフとトレジャーファクトリーとメルカリで循環させて、大量生産品も自分らしく節約上手のやりくり上手の腕の見せ所。そもそもそんなところに見え張らなくても私たち充実していて幸せで、生活に追われて悩んでる時間なんてないはずだった。結婚しようってプロポーズしてくれた時私はそこまで思い描いていたけれど、あの人は何考えて私に指輪をくれたんだろう。毎月給料は飲み代とゲーム課金と奨学金の返済でなくなるし。私にしたって美容院いってネイルしてまつエクしてカフェ行って、ネットで服買ってるうちになくなるし。貯金しなきゃ一軒家なんて夢のまた夢。子ども持つ気あるのって聞いたら、「そのうち、でも今じゃないよねまだそんな責任持てないしっ」てじゃあ家は?って聞いたら「郊外とか不便だからずっと賃貸でもいいじゃん」て、そうなんだ。あれなんか違う私そろそろ妊娠して、この会社も給料上がる見込みもないしそろそろ経営がやばそうだから辞めようって思ってたのにやめられないし凄い宙ぶらりんで困ってるんだけど。相談したら「とりあえず転職活動してみれば」って言ってきたよね。でも私なんか疲れちゃて適職の為のチャート記入とかエントリーシートとか見るのきついんだよね。この会社でもう一度ってやる気出そうとしても結婚してあと一年以内には妊娠してるから辞めようって思ってたからそのあとの三年は終わらない延長戦してるみたいな感じで以上に疲れるんだよ。それでミスも増えるし怒られるし。期待されないし。新人にもなめられてるし。

退職願い出した時のあいつらのほっとした顔悔しかった。先にお前ら見切ったのは私なんだよって言ってやりたかったけど逆に笑顔で感謝のスピーチしたりして。次の会社なんて決まってないのに「いつか仕事で会えたら声を掛けてください」なんて言ったよ。

不機嫌な態度で嫌悪感たっぷりに挨拶もせず去りたかった。最後の半年、無視するわミスだけ私のせいにするわ飲み会も何一つ誘わないわでじりじり追いつめてきた奴らに挨拶なんて要らなかったよね。でも、窓際に追いつめられて声もなく落下するみたいじゃんって思ったらそれが悔しくて次の会社決まってる体で半年ぶりにあんなにハキハキしゃべった。あいつらびっくりしてたけどどうせ私がいなくなったとたんに噂して笑って気持ちよく忘れていくんだと思う。結局何の爪痕も残せなかったなぁ。

あの日体裁だけの花束もなく帰ったらあなたは飲みに出かけてて私家でも独りぼっちだった。酔ってるあなたにうっかり笑顔で「お帰り」って言ったらあなたは「お疲れ様、どうだった?」って聞いてきた「うん、普通。普通に挨拶して帰ってきた」「そっか、やめられてよかったね、次の会社早く決まるといいね」「そうだね、頑張る」「うん、まあ無理せず」「うん」って会話したらすぐ寝てしまった。酔ってたしね、私も笑ってたしあんな言葉しかなくてもしょうがないよね。ああ、私家でも笑ってやり過ごしてしまった。ほんとは会社も上司も同僚も後輩も取引先もぎったぎたに罵りたかった。私の呪いで倒産して全員路頭に迷えばいいのに。って。でも言えなかった。あなたと私の幸せな結婚生活を守りたくて言えなかった。そんな言葉を使う私をあなたが受け止めてくれる確信が持てなかった。あなたは家の為でも子どもをつくるためでもなく、私を好いてくれたから。あなたと私をつなぐ線が恋愛感情だけなら本当の私を見られては行けない。って頑張ってた。

でも本当に私を好きなら結婚して何年も同じ屋根の下に生活してきたんだから、私の作り笑顔くらい見破って欲しいの。最近ずっと調子が悪いのにあの日笑顔でいるなんておかしいって、私のこと心配してほしかった。なんか私って安物のマットレスみたい。みんなが私を踏んづけてそれを当たり前みたいに思ってる。そしてわたしは言葉もなくひしゃげて反発もなくなって役立たずになって捨てられる。私を見捨てないで。あなたが結婚に夢見たときだって私は私だったんだから「こんなはずじゃなかった」なんて言い出したら許さない。2人で一緒に幸せになるっていう言葉を裏切ったらただじゃおかない。

あなたのもらってきた犬、サブちゃん。この子に落ち度は何一つないけど。最近のあなたはサブちゃんばっかりかわいがって一層私のことなんて見てない。それに、ご飯に散歩にうんちの処理に全部私がやってる。私が育ててるサブちゃんをあの人はかわいがって喜んでる。馬鹿な人。サブちゃんはいつまでも当たり前にかわいくてあったかくてフワフワしてると思ってる。それは私が世話を焼いてるからなのに。あの人は知らん顔でただかわいがっている。今日の朝、サブちゃんにドッグフードを上げようとしたら、軽く私の右手をかんで待ても聞かずに食べ始めた。この犬、私のことなめてるなってわかった。ねえ、サブちゃん。私のこと自分よりも下に見てるのばれてるからね。

あの人の心を私から奪ったらあんたはもうおしまい。朝のご飯もやらない散歩にも連れて行かない。毛はもじゃもじゃでよだれが張り付く痩せたあばらに目ヤニのたまった目ではあの人に愛されることもなくなるだろう。あんたがあの人の関心を集められるのはその可愛さ暖かさ柔らかさのおかげなんだから。愛玩動物って不幸だね。世話されないと不幸だね。でももう私だけつらい目に合うのはうんざり。

あの人は犬に癒されて私に触れるのを避けてる。あんなに私に言い寄って結婚したのに今では手も握らないよね。そうやって会社の奴らみたいに私の居場所をこの家から奪っていく気なの?あなたの心が私の居場所なのに作り笑いにも気づいてくれないの?

一人の踏み台になる人がいる。上には踏みつける人がいる。階段のように人を踏みつけてその人は幸せになる。踏み台になった人が文句を言わなければこの世界は形を保って二人の内一人は幸せになるだろう。それは50パーセントの人類が幸せになる世界。

もし踏み台が踏み台をストライキしたら?どうなる。踏みつけるやつと喧嘩したらどうなる。それは100パーセントの人類が傷つけあう世界。誰も幸せにたどり着くことができないだろう。もういいや。我慢するの止めたい。傷つけられた分より多めに痛手を与えてやる。存在を呪ってやる。

 

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木嶋

こわー

 

みんな

ねー、

 

桐澤

なんか前回の稽古から、一週間どういう状況なら人を呪うことができるのかってことをずっと考えていて、すき家でこれを書いてた時、子供がこっち見てきて、カッて睨んじゃって、めっちゃ怖がらせてもたもん、子供のこと、

 

稲垣

めっちゃモード入ってるやん、

 

南出

なんかすごいリアルよな、

 

丹澤

友達に仕事辞めたくて結婚したっていうやつがいて、その友達のこと思い出した。

あと、浮気とも結びつくなって感じていて、浮気って基本的に妻が夫のレベルを上げているのよ。服選んだり、髪型評価したり、奥さんと別れて、浮気相手のところ行ったら、拍子抜けされるというか、奥さんのいたあなたが好きだったわってなるパターンあるのよ。

 

木嶋

勉強になります!

 

桐澤

子供のこととか、大きな問題みたいなの入れようかなと思ったんだけど、書くのがつらかった。そうでないので恨みのリアリティ出せないかなと思って。

 

稲垣

これだけ出てくるのすごい、一週間でこんな分量書くの相当大変よね、

 

桐澤

あと、これ、パソコンの機能で機械の声で読み上げてくれるやつがあるんだけど、それやってみても面白そうだった。

 

・機械の読み上げを聞く。

 

みんな

ああー、変な感じあるよね。

 

稲垣

最初のオープニングシーンとかで、二割聞こえるぐらいでブツブツブツブツしゃべってたら面白そう、他の人のこういう長いのも何個か用意して、

 

みんな

あー、

 

稲垣

じゃあ、次は僕ので、

 

  • 稲垣の書いてきたやつを読む。

 

芽衣子、石鹸をナイフで犬の型に掘りながら、

目、深い深い黒に、光がポツンとともる。

鼻、湿った茶色のブツブツに息が出入りする。

口、ピンク、こそばゆいピンクの口。

耳、が生きている、ジャンプするように生きている。

足、優しい白で覆われている。

尾、振られる、とてつもなく揺れる。

愛してる。愛してる。愛してる。

 

岩村

て、どうやらなんか、犬のこと、話しているように感じて、一人で、

山下

こえー、

岩村

話しているっていうか、呟いてる、呟いてるっていうか、唱えている、っていうか、唱えていて、

 

芽衣

あなたが家にやってきた時、愛を感じた。

その走り回る姿、弱い吠え方に。

あなたの毛をコロコロで掃除する時、愛を感じた。

紙に張り付くおびただしい線に、私の抜け毛と混ざる様に。

あなたが膝の上にのっかかってくる時、愛を感じた。

撫でる手に伝わる優しい感覚に、生き物の動きに。

あなたと歩く散歩道に愛を感じた。

いつものおしっこポイントに、季節によって変わる光景に。

桜、朝顔、紫陽花、モミジ、スミレ、パンジータンポポ、ヒマワリ、白詰草

愛している。愛している。愛している。愛して

 

岩村

いる。愛している。愛している。って、みたいなこと、言ってて、明らかに三郎ちゃんとの思い出、言ってて、

山下

こえー、のか?

岩村

のか?って俺もなって、だけどよく見て、なんか犬の形したなんか持ってて、

山下

え、どこ?

岩村

ほら、手のとこ、左手に白いのなんか持ってて、右手にカッター持ってて、

山下

うわー、こえー、

岩村

掲げはじめて、あれが犬の形してるってわかったんだけど、その白いの掲げはじめて、愛してる。愛してる。愛してる。

芽衣

愛してる。愛してる。愛してる。

岩村

愛してる。って言いながら掲げはじめて、

芽衣

愛は眠らない。愛は滞ることを知らない。愛は読めない文字である。愛は触れられないスマホである。さようなら。ありがとう、さようなら。

岩村

って、犬の形の白いのの首のところにカッター持ってくから、

山下

えー、

岩村

やめてーって、飛び出して行っちゃったの。俺。え、なにやってるの?

芽衣

なにもやっていないよ。

岩村

なにもやっていないわけないでしょ。愛してる愛してる言ってたじゃん。

芽衣

愛してたのよ。

岩村

愛してた?なにを?

芽衣

三郎ちゃんをよ。

岩村

カッター使って?

芽衣

わたし、カッターを使わなきゃ愛せないの。

岩村

は?

芽衣

カッターを使ってはじめて愛せるの。

岩村

は、なに、カッターを使ってはじめて愛せるってなに?新鮮な言葉、新鮮な言葉使うね君、

芽衣

わかんない、わかんないんだけど、

岩村

え、なに、三郎ちゃん、殺したいの?

芽衣

わかんないって言ってるでしょ、わかんないの、あー、

 

岩村

って泣いちゃって、話通じなくて、ちょっと、あの、来てくれない?

山下

え、なに?

岩村

すぐそこだから、来てくれない、

山下

え、

 

岩村、山下を連れて、その辺を丸く歩きながら、

 

山下

え、今から、

岩村

うん、

山下

行くの?

岩村

うん、

山下

そこに?

岩村

うん

山下

いやいやいやいや、

岩村

いやー、ちょっとちょっとだけだから、

山下

無理無理無理無理

岩村

いやー、もう、ほら、こういうのはさ、第三者がさ、大事なんだから、

芽衣

あーーーー、

山下

え、泣いてんじゃん、

岩村

いや、そりゃ泣くよ、ずっと泣いてんだから、

山下

え、ずっと泣いてるの、

芽衣

あーーーー、

山下

え、俺行っても何にもできないから、

岩村

俺言ってもどうしようもないんだから。

山下

じゃあダメだよ、

三郎

ワン、ワンワンワン、

岩村

ほらあ、サブちゃんも助けてって言ってるよ、

三郎

ワンワン、ワンワン、

山下

ええー、

岩村

ただいまあ。

山下

お邪魔しまーす。

芽衣

あーーーー。あ?誰ですか?

山下

あ、山下です。友達の。って具合で、無理矢理、本当に無理矢理連れてかれてしまって、

あや

へー、

 

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稲垣

個人的には南出君の前回書いてきたのを僕なりに踏襲しようと思ったんだけど、難しい言葉が出てこなくてこうなった。

 

南出

愛は眠らない、めっちゃ笑った。

 

稲垣

あそこなんかあれなんだよね、雰囲気的に愛についての名言を求められてる気がしてああなった。

 

木嶋

カッター使わなきゃ愛せないってのも笑った。

 

南出

コミカルよなー、

 

丹澤

あと山下が岩村に今から俺の家行く?って誘われて無理無理無理無理ってなるとこも笑った、そんな修羅場なとこ行きたくないよね。

 

桐澤

呪いのパフォーマンスで、石鹸を犬の形に彫るっていうの、東南アジアの文化で、スイカを彫って模様作るってのがあって、日常的に使われているものとか、人参とか、彫って形作るの怖そうだなって思った。針で縫い物してるとかも怖いよね。

 

みんな

こわー、

 

稲垣

ちなみに石けんは美堀真利ってかたの紫魔術入門って本に載ってた紫呪術を参考にしてます。

じゃあ、次、丹澤さんの読もうか、

 

南出

これは、友と女って字が似ててややこしいな。

 

稲垣

ちょっと丹澤さん、登場人物名決まったんだから頑張ってよ、

 

丹澤

すんませんー

 

桐澤

ちょっと待って、

 

稲垣

ん?なに?

 

桐澤

友と女の字が似てるってすごい、名言ぽくない?

 

稲垣

え?あ、

 

みんな

おー確かに、

 

稲垣

友と女の浮気の匂い感じるよね。

 

木嶋

いや、そんなに似てないよ。

 

一同爆笑。

 

  • なんだかんだあって丹澤さんの読む

 

友 あなたはなぜ呪いなんかしているのですか?

女 呪いをしてはいけないのですか?

友 してはいけないとは言っていません。しかし、まずは話し合うことが大事なのではないですか。

女 話し合いで解決するなら呪いなどしません。解決しないから、呪っているのです。

友 なぜ解決しなかったのですか。

女 あなたはなぜ話し合いで解決できると思うのですか。

友 人はそうしようとすれば、たがいに歩み寄ることができるはずです。

女 そうでしょうか。あなたは、人類は滅びるべきだと思いますか。

友 いいえ、思いません。

女 では、人類が滅びるべきだと信じている人間と分かり合うことができるのですか。あなたはその信念を曲げて、人類は滅びるべきと、話し合いで納得することができるのですか。

友 納得はできるかわかりませんが、その考えを理解することはできるかもしれません。理解しあう努力は必要です。あなたはその努力をしたのですか。

女 どうしてそんな言い方をするのですか。努力をしなかったのは私ですか。いいえ、しなかったのは彼のほうです。ですからこのような状況になっているのです。

友 彼はいったい何をしたのですか。

女 いいえ、彼は何もしなかったのです。彼が何かをしたならば、それについて、話し合うこともできたでしょう。なぜそうしたのか、そのなにが、私の気に触れたのか。そうであれば、私から、さらに彼に何かをして、また彼がそれに返してと、対話をすることも可能だったでしょう。しかし彼は何もしなかったのです。何もないところからは何も生まれません。

友 彼が何もしないのならあなたからアプローチをしてもよかったのではないですか。

女 そのようなことははるか昔に済ませたことです。私からアプローチをして、どうなったか。そうです、何も返ってこないのです。

友 いや、彼だって返したのではないですか。ホームランではなかっただけで、ファウルだったのかもしれません。誰しも失敗をしてしまうことはあります。

女 バットを振りもしない人を擁護するのですか。ファウルやヒットならいいでしょう。とっくにホームランなど期待していません。

友 なぜそのような相手との関係を絶たないのですか。そのほうがあなたも楽でしょう。

女 私もそう思いますが、残念ながら、人と人の関係はそんなに簡単ではありません。人には引き受けなければならない業があります。私にとってはあの人なのです。

友 そのようなことはありません。あなたのためにも、別れたほうがいいと思いますが。

女 それはできない話です。私があの人と別れたならば、あの人は喜んで生きてゆくでしょう。私はあの人が幸せになるということは受け入れがたいのです。

友 あなたは隣にいる人間が不幸でも幸せになれるのですか。あなたの話では、あなた自身が幸せに生きていくのは難しいように感じます。あなた自身のためにも、一緒にいて幸せを感じられるような人と共にいるべきです。

女 いいえ、あの人が不幸になればなるほど私にとっては幸せです。

友 そんなはずはありません。

女 それはあなたの理屈です。私にとっての幸せとあなたにとっての幸せは違います。あなたはどんな時に幸せを感じますか。

友 おいしいものを食べているときですかね。

女 ほかには。

友 休日の二度寝とか。

女 ほかには。

友 彼女とイチャイチャしたり……

女 ほかには。

友 えー。キャンプ行って星空眺めてるときとか。

女 ふつうですね。

友 いいじゃないですか、普通で。

女 私は日々が充実しているときに幸せを感じます。

友 それも普通ですよ。

女 呪いによって私の日々は充実しています。ですので、私は十分幸せです。

友 不健全ですね。

女 なぜですか。

友 人の不幸の上に幸せはあり得ませんよ。

女 どうしてですか。弱者から吸い取った税金で得た利権で肥えてる政治家は幸せそうですけど。

友 彼らは特殊な人間です。彼らは見せかけの幸せを楽しんでいるだけです。いずれ地獄に落ちます。

女 そうですか。でも彼らが地獄に落ちれば幸せを感じる人もでるかもしれませんけど。

友 それは幸せというよりざまあみろっていう爽快感でしょう。幸福感とは違うと思います。

女 どうして人の不幸で幸せを感じてはいけないのですか。昔からいうでしょう、他人の不幸は蜜の味って。

友 ですからそれも見せかけの幸せの仲間です。自分より不幸な人間を見ることで自分がその上に立って、幸せな気になっているだけです。

女 あなたは幸せを規定する気ですか。正しい幸せとそうでない幸せを、あなたが他人の分まで決められるというのですか。

つづく。

 

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南出

すごい、問答っぽい。

 

丹澤

NHK古典芸能へようこそでやってた能の卒塔婆小町の問答シーン参考にしました。

 

南出

急に例え出すの面白いな、ホームランとかファウルとか、

あと定型文っぽい言い回しかと思いきや、具体的な政治の話でたりして、

 

丹澤

幸せを感じる時はネットで検索した。

 

稲垣

わかりそうでわからんというか、深いのか浅いのかよくわからんというか煙に巻かれる感じありますよね。

あと、呪いによって日々が充実してくってのから、具体的な、さっきの桐ちゃんの考えてきた設定とか、呪いの経歴とか問答に入れられそうな気がした。

 

桐澤

弁護士っぽい掛け合いみたいなイメージで読んだけど、もっとフランクにもできそうなのかなって、

 

丹澤

その辺は色々いじれると思う。

 

稲垣

じゃあ、最後、木嶋さんの読もうか。

 

  • 木嶋さんが書いてきたものを読む

芽衣子は祖母の七回忌で実家に帰省中

綾 ほんとにいいの?留守中お邪魔しちゃって。
岩 いいのいいの
よっちゃんが寄ってくる
綾 犬飼ってるんだ、なんてゆうの名前
岩 よっちゃん
綾 へー
岩 ヨークシャテリアだから
綾 ああ、へー、かわいいねーでもこの毛大変じゃない?手入れとか
岩 ああ、芽衣子が月一かなートリミングに通ってる
綾 ふーん
岩 けっこうかかるの、金。大体犬なんかさー外で飼えばいいんだよー。家ん中で犬とか猫飼うのやなんだよねー

よっちゃん綾に寄ってくる

綾 わーかわいい
よっちゃん綾の手をペロペロする
岩 お前ほんと八方美人だな
綾 え?あたし?
違うよ、よっちゃん いつもは芽衣子にベッタリなくせに
綾 へーそうなんだーあ、撮って撮ってー

岩はよっちゃんと綾の写真を撮る

数ヶ月後

芽衣子 よっちゃんかわいいねースキスキ❤️チュッチュッ❤️
犬 僕もめいちゃん好きです❤️ウットリ
芽 よっちゃんチュール食べる?チュール
犬 あ、、、チュール、、、テレビで猫がペロペロしてたやつだ。
!!?ぼく犬なのにいいの??!!わー!うれしい!
芽 もうね、猫用あるんだったら犬用も早よ出せよって話しよねーよっちゃん、はいどうぞ
犬 わーー!ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロなにこれおいし〜ペロペロペロペロペロペロ。
芽 あらあらよっちゃんったら、チュールに夢中ねー。

玄関の音 岩帰宅 ソファにドサっと座る

岩 はー疲れたー
芽 ちょっともう!よっちゃんがびっくりするじゃない!
岩 あ、ごめん ゲップ
岩はテレビつける
芽 やだもーまた飲んできたの?
岩 うん
芽 誰と?
岩 山下
芽 ふーん、あ、綾さんって二人目できたんだって?
岩 ああ、そうそう
芽 そっかーおめでたいね
岩 ああ
芽 家族が増えるっていいよねー
岩 ああ
岩はチャンネルを変える
芽 ま、いっか、うちはよっちゃんがいるし
岩 ああ
芽 、、、さてっと、お風呂に入ろうっと
岩 ああ

岩とよっちゃんは二人きりになる
よっちゃんはまっすぐ岩を見ている岩は視線を感じてよっちゃんをみる

岩 お前はいいなー、クッチャ寝クッチャ寝で

よっちゃんは岩を見つめたまま近寄る岩はよっちゃんを抱っこする
よっちゃんは澄んだ目で岩を見つめる

岩 よっちゃんやめてくれる?そういう目で見るの
犬 いや別に、ただ見てるだけですよ、お酒臭いなーて思いながら、他意はありません
岩 この間の事、内緒だぞ!
犬 ああ、寝室のベット使った事ですか?言いませんよ、めいちゃんに呪い殺されますよ
岩 呪いって何よ
犬 岩さんだけじゃないですよ。
岩 え?
犬 ぼくだって、、、
岩 なんで、よっちゃんまで呪うのよ
犬 この間、写真撮ったでしょう?綾さんと
岩 ああ撮ったね
犬 僕誰にでも愛想良くしちゃうからさ、あの写真発見されたら僕の立場やばくないですか?
岩 確かに笑 いつもめいちゃん命!って感じなのにね
犬 僕はただあの時、愛想良くしてチュールくれないかなーって思ってただけなんですよ?それなのになんかラブラブみたいに撮られてちゃったから不本意と言うか。

 

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爆笑の渦が巻き起こる。

 

みんな

すごー、

 

木嶋

犬殺した方が良いのではと思って、あと、自分が可愛がってた犬が旦那の方へ行くってので書いてみました。

 

南出

独特すぎるなー、

 

稲垣

チュール面白すぎる。

 

丹澤

綾と岩できてるよね、めっちゃドロドロやん。

 

桐澤

あと、犬が岩村のことを岩さんて呼ぶのめっちゃええよな。

 

南出

犬普通に喋ってるの面白すぎるな。

 

桐澤

しゃべる犬の前で浮気するってこと?

 

稲垣

犬が芽衣子とは言葉通じず、岩さんとだけ言葉が通じてるから、謎で面白い。

クレヨンしんちゃんのヘンダーランドの冒険に出てくる、ス・ノウ・マンっていう、雪だるまの格好してて、みんな普通に接してるのにしんちゃんだけが違和感感じまくってるていう怖いやつをなんか思い出した。

 

  • で、どうするか悩む。

 

稲垣

へー、みんなすごいね、もっと足りなくて悩む感じかと思ったらありすぎて悩む感じになってきたね。

ま、ちょっとまとめるか。

 

以下、まとめたの

 

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稲垣

南出君が書いてきたの、ほぼ完成しているのをAパターンとして、今までの流れを主に組んでいるのがBパターンって感じですかね。

大きく違うのは、子供の問題があるかどうかと、呪い問答があるかどうかだよね。

 

南出

問題がないと難しくないかなーと思って、

 

稲垣

逆に、前回までのダサいねーって距離とられるって綾のあり方も面白いと思っていて、前回の丹澤さんのモノローグがかぶってくみたいなのも結構面白いと思ってる。テンション上がるというか。子供の問題が出ちゃうとそっちに舵がいっちゃうて気もする。

 

丹澤

わたし的にはもっとぼかしたいって気がする。そういうのが隠れてあってもいいよなーって、病院とかも出さずに、

 

桐澤

メデイアの異質さっての大切にした方がいいよね、

 

南出

メデイアの孤立してる感というか、異質な感じを出すのと、問答に入るとちょっと人と対話ができるレベルにいるってなるのも難しいなーと思う。

 

桐澤

丹ちゃんの書いてきたのって、男が演じても女が演じてもって感じあるよね、人対人っていうか、

 

南出

様式美的なものあると思う。

抽象的世界って感じで、そこにジャンプする何かが必要かなと。

 

稲垣

山下のセリフをナチュラルなものに変えることも可能よね?

 

南出

山下って、理屈っぽいやつじゃないと問答のシーン成立せんのでは?

もっともっぽいこと言ってるけど何もわかってないというか

 

桐澤

反対に岩村は無邪気にわかってない感あるよね、

 

みんな

あー、

 

桐澤

メデイアは異質やけど、一般人的な綾の方も呪う一歩手前感あるよね、タンちゃんの活かすと。

 

と、まあなんだかんだあり、桐ちゃんの呪いの言葉をブツブツ言うのはオープニングシーンで使えるのではないかという話になる。

 

丹澤

演劇っぽーい、

 

稲垣

ここで僕は提案するのは、橋幸夫ジェンガに合わせてステップ踏みながら登場するていうのはどう?演劇っぽさをなくすため、

 

桐澤

いや、むしろそっちのほうが演劇っぽくない?

 

みんな

そうだそうだー

 

稲垣

えー、

 

南出

でもオープニングでブツブツ流れるのいいかもね、

 

稲垣

あと、これあると、細かいなぜ呪うのかってところをなんとなくわかるので、無理に頑張って入れなくても成立するのではないかと、

 

みんな

あー、

 

と、まあ、いろいろ議論は深まる。

 

稲垣

僕の気持ち的には一旦それぞれ持って帰って、南出君みたいにそれぞれの筋を通して見せ合って、誰のをもとにしてつくるか決めたいかなあと。

 

みんな

うーん、もっと詰めた方がいいのでは?

せめて結末だけでも決めた方が良いのでは?

 

なんかいろいろあって、

 

稲垣

いや、まあ、ここは各々で、好みの問題もあるし、多分完成しないと判断できない要素が大きいと思う。

 

丹澤

全然違う形になってもいいってこと?

 

稲垣

いいよいいよ、各々の一番納得いく形を持ってきてほしい、今あるやつを編集してもいいし、キャラのつじつま合わせとかもしたり、どういう結末にするかとかも含めて、

 

みんな

ういっす

 

稲垣

とりあえず、今日書いてきたの通そうか、aパターン、bパターンで、

 

  • 通す。

稲垣がaパターンの録画失敗したから、aパターン二回する

 

木嶋

面白かったよ。

どっちもやったらいいじゃない。

 

みんな

えー、

でもやってみてわかることあるよね、

 

稲垣

帰る、それともここから句会を始めるか。

 

みんな

いや、帰るわ、しんどいわ、

 

稲垣

えー、

じゃあまあ、帰りましょうか。

 

みんな掃除して去る。

民芸の話で盛り上がった。

 

次回宿題

各々で最後までの筋を考えてくる。