カハタレ日誌

カハタレの稽古の様子

20220327 カハタレ特別講義「インド神話講義」

20220327 カハタレ特別講義「インド神話講義」

 

3ヶ月以上ぶり?くらいに対面で集まった今回。カハタレ第一回講義ということで、いつものカハタレメンバーに加え、

講師として伊原雨草さん、聴講参加者として徹平さん、まりさん、神田君が東池袋の稽古場に集合した。

 

南出「稲ちゃん、それプロジェクター借りたん?」

 

稲垣「買った、買った。安かった、千円くらいで買えた」

 

南出「私物なんや」

 

稲垣「はい、じゃあ、みんな揃ったところでそろそろはじめましょうか。今日最初の講義は伊原雨草さんによる「インド神話講義」です。大体2時間いくかいかないかくらい?ですかね?」

 

伊原さん「そうだね、たぶんそのくらいになると思う。あ、じゃあ一応プリントあるので配りますね」

 

みんな「はーい」

 

伊原さん「本日はよろしくおねがいします。伊原と申します。簡単に自己紹介しますと、東洋大学文学部印度哲学科でインド神話を勉強しまして、その後、俳優座研究所演出コースに入りました。2012年からはKazan office.立ち上げから参加して立本夏山さんらと演劇活動をしてました。今は障害者福祉に従事しながら、フリーで 演劇作品に参加・サポートなどをしています。インド神話に興味を持ったきっかけはゲーム「女神転生」が好きだったですが、そこに出てくるインドの神様が超強かった、ことです。

 

伊原さん「はい、では始めていきたいと思います。インド神話講義、まず今日の構成はこんな感じ」

 

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●インドってどんなところ?

伊原さん「まずインドについてのイメージを掴むために、みなさんがインドと聞いてどんことを思い浮かべるか聞いていきたいと思います。じゃあ、南出君からどうぞ」

 

南出「まずはカレーですね、インドと言えば。あとは最近アマプラでヨガの聖地をめぐるドキュメンタリーを見たので、ヨガ、ヨガといえばヨガファイアー。ダルシムですね」

 

マリさん「インドは、ごちゃまぜです。あとは、神様、みんな神様好きってイメージです」

 

徹平さん「ガンジス川に死体が流れてくる。あとはカシミールとか北に行くほど美白の人が増えるっていうのは聞いたことがあります」

 

木嶋さん「私もインド行ったことあるですけど、まぁ、野良犬、野良牛。がいっぱいいる。あとややこしいのは、YESいう時に首を横に振るのね」

 

稲垣「みんな下痢になる。行った人はみんな。あと、インドに行った写真家の人が言った言葉って聞いて、すごい衝撃を受けたのは「人間は犬に食われるほど自由だ」っていう。」

 

神田君「マハーバーラタ。踊り。カースト制度

 

丹澤さん「マハーバーラタ、昔授業で習ったけど、なんか王族がすごい出てきて話もややこしくて難しかった印象です。今日の講義にも出てきそうだから、楽しみ」

 

桐ちゃん「手塚治虫ブッダすごい好きで、何度も読み返してる。あと、民族衣装のサリー」

 

伊原さんが出てきたワードそれぞれに解説してくれる。

 

伊原さん「いいですね。ナイスですね。くさん出てきました。中でも重要なのはカースト制度です。でもインドではカーストとは言わない、これはポルトガル語なんですね。ではなんというか、ヴァルナ、といいます。4つの階級、

バラモン(僧侶)

クシャトリヤ(王族・武士)

バイシャ(平民)

スードラ(奴隷)

そしてこの4つの中にさらにジャーティという区分があります。また、この4つはバラモンを頂点とするピラミッド構造ですが、スードラの下に、アウトカースト、という人たちがいて、差別されている。

 

でも、アウトカーストの人たちすべてが虐げられているかというとそこは複雑で、踊りなどをする芸能者もいて、そういう人たちは一目置かれていたりする。

 

木嶋さん「私もインドに行った時、下の階層の人たちは、ある意味で守られているだと感じた。ものごいをしていると、みんな邪魔しない、ものごいができるように守られているというか」

 

伊原さん「そうなんです。バラモン教の教えでは、高い身分の人は下の身分の人に施さねばならない、ことが説かれている。ですから差別を生み出すカースト制をいちがいに悪だ!ということもできない。いろんな側面がある。まさにマリさんが言ったごちゃまぜがここにもある」

 

ではここからは、私がインドに行った時の写真を見つつ、さらにインドについて考えていきます。

 

・インドの劇場(オッドバールシアター?名前忘れました。)では現代演劇も上演されていた。インドの現代演劇、気になる。

 

・ドラもんの絵がホテルの壁に描かれているが、のび太が肥満気味だった。

 

・アジャンタ・エローラ石窟寺院

巨大な石仏が数多く安置されている。伊原さんが「人間の小ささ」を実感した。

 

伊原さん「それでは、一旦休憩です」

 

〜〜〜休憩〜〜〜

偉人ラムネの話。

〜〜〜休憩終わり〜〜〜

 

インド神話にまつわる歴史

伊原さん「では、ここからはインド神話の話に入っていきます。プリントを見てください。」

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バラモン教ヒンドゥー教

BC1500年くらいから何千年も経過する中でバラモン教権威主義的傾向を強めるとともに、権力の腐敗も起きてきた。それに反発して仏教やジャイナ教が生まれ、またバラモン教の中でも改革が進んだ。バラモン中心じゃなくて、インド(ヒンドゥー)中心の宗教がいいだろうということで、バラモン教ヒンドゥー教になっていった。

 

インド神話の神々

伊原さん「次はヒンドゥー教の神様について見ていきましょう」

 

 

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伊原さん

ブラフマー(創造)

・ヴィシュヌ(維持)

・シヴァ(破壊)

の3人の神様が中心とされます。」

 

丹澤「プラフマー、顔三つあるのなんで?」

 

伊原「後に奥さんであるラクシュミーを口説こうとするときに、ラクシュミーがじろじろ見てくるのでプラフマーから見えないように横に回り込むと、「君をもっと見ていたい」と言って、側面に顔ができた、またラクシュミーが後ろに回り込むと後ろにも顔が生まれた。そうして4つの顔が生まれたと言われています。」

 

稲垣「見方キモ〜〜〜。普通に振り向けよ。

 

伊原「あと、ガネーシャも人気です。幸福、学問、商売、財産を守るなど、いろんなご利益があります。」

 

みんな「いや、なんで頭部象やねー

 

伊原「これには諸説あって、ガネーシャはシヴァとパールヴァティの息子なんですが、パールヴァティが自分の垢から作った子供なんです。で、シヴァが出かけているときに、パールヴァティが風呂に入るってんで、誰も入ってこないようガネーシャに見張りをさせました。するてえと、運悪く亭主が帰ってきちゃって、

 

シヴァ「おい、てめえは誰だい?俺の家の前で仁王立ちなんてして」

 

ガネーシャ「おらぁ、パールヴァティ様の息子でガネーシャってんで、おっかさんが風呂にへえってるから誰も入らないよう見張ってるんで

 

シヴァ「よくわかんないねえ。まあ俺の家だから入らしてもらうよ」

 

ガネーシャおっとそりゃあいけねえ。言った通り、誰も入れるなと言われてるもん

 

シヴァ「何をこのガキぁ、俺の家だぞ」

 

ガネーシャガタガタぬかすな。入れねえもんは入れねんだ

 

シヴァ「なにおう

 

ガネーシャ「やるかぁ

 

伊原「ってでえ、喧嘩になっちゃった。しかしシヴァっていやぁ破壊の神だろう、いのなんのてえ、すぐにガネーシャの首を剣でスパーンときっちゃった。風呂から出てきたパールヴァティが驚いちゃって、」

 

パールヴァティ「あらあんた、うちの息子になにしたのサ。エエ?首はねちゃったって?ほんとにあんたは馬鹿力なだけのバカだね。すぐに直してちょうだい」

 

シヴァ「なおすったって、切っちゃったもんはしょうがねえ」

 

パールヴァティ「切っちゃったなら、つけなさいな」

 

伊原「て、こりゃあこまったね、切った首も見つかんねえやってんで、その辺で見つけた象の首をこれまたスパーンと切ってきてガネーシャの首につけたってわけだ」

 

南出「ほう〜、なるほど、(あ、稽古場日誌はなぜか落語口調になりましたが、実際には普通にしゃべられていました。すみません)

 

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インドの二大叙事詩を比較してみる。

 

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マハーバーラタはバラタ国の盛衰史。

・神と人間のハーフの五王子が活躍する。

・四男と五男は双子だが五男の方がちょっとイケメン。

・実は長男の上にカルナという子がいたが、幼い頃に捨てられて、敵方の百王子軍に加わっている。太陽神の子であるにもかかわらず捨て子で孤独な敵役といういいキャラしてる

 

インド哲学をざっくりと解説

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バガヴァッド・ギーターにおいては、「行動すること」が最も大事。行動しないでじっとしていることはダメ。ただし、「正しい」行動をしないといけない。

 

・世界の仕組み

ブラフマン(宇宙原理)とアートマン(個我・自分を作るもの)とが究極的には一致しているのでは?

稲垣「子供の頃、自分が死んだら世界も終わるのだと思っていた。その感覚。」

 

伊原さん「この辺の哲学の話は、ややこしすぎるのでここでは深くは追求しませんが、みなさんの考えるきっかけになればと思います。」

 

2時間くらい?って言ってたけど気づけばもう18時。4時間におよぶ充実の講義、伊原さん本当にありがとうございました。

 

(稽古場日誌執筆あとがき

インドって、まりさんが最初に言ってたみたいに「ごちゃまぜ」。神様も真理も人間の生き方も、絶対というものはなくて、多様なんだけど、手垢にまみれた言葉の上での「多様性じゃなくて、ほんとに全てがぐちゃちゃに混ざり合って、存在している。正しいか正しくないか、善か悪か、白か黒かしきりに決めたがる時代になったけれども、本当は、いいことも悪いことも全部渾然一体で、その中を生きていくしかないよな、っていうようなことを、この講義で学びました。ありがとうございました(南出)