カハタレ日誌

カハタレの稽古の様子

20220410ベケット、エンドゲーム読む

20220410ベケット、エンドゲーム読む、参加者、稲垣、桐澤、丹澤、南出、徹平さん
 
★みんなでエンドゲーム、サミュエルベケット作、岡室美奈子翻訳を読む。
→桐ちゃんがゴドーは読めるんだけど、エンドゲーム途中で読むのやめてしまうからこういう機会にってことで読んでみることになった。
 
●桐ちゃんが戯曲集の巻末の文章と日本で上演された時の批評を共有してくれる。
 
大まかな内容↓
・ハムとクロヴの親子関係のような二人が部屋の中でずっと喋ってる。
・窓二つから見える景色はゼロゼロゼロとクロヴに数えられるように人がいない、核戦争後を連想させる世界が部屋の外に広がっている。
・たまにハムの親のようなナッグとネルがゴミバケツの中から顔を出して喋る。下半身ない。
→戦争、地雷の影響?
・ハムは目が見えず足も動かず車椅子に乗ってる。
・部屋の中がチェス盤のような配置。ハムはキングのように動かない。
・クロブはハムに命令され脚立運んだり、犬運んだり、色々動く。
・クロブは食料倉庫の鍵の番号を知らないためにここから出て行きたくても出ていけない体、→クロブがこの部屋を出ていくのかってのが大まかの筋としてある。
・ハムは時折、自伝的物語を考えて長々と話す。
 
●実際に読む。
 
稲垣
最後なんかわかりやすい、ゴドーより、情緒があるよね。なんか。最後すごいいいシーンだなあ。
 
丹澤
一応収まり良いよね。
エドワードボンドに戦争戯曲集見たいよね、核戦争後の世界。
 
桐澤
そう言った話を聞くと結構わかりやすいと思ったな。
 
稲垣
父と息子の関係のドラマみたいな感じで。
最後クロヴいるのかいないのか、みたいな。いなくなるのがサラッっとしてる。
あ、一応いるね、この部屋を出ていくんだけど、最後のハムの長台詞の間で帰ってきてる。
 
徹平
象にも似てるなあ。最後。怒られるし、象はおじさんと甥の関係、
 
桐澤
途中の長い語りみたいなのを、芸達者にやるのか、下手にやるのか、作り方で結構変わって面白そう。
普通に笑えるし、読みやすかったなあ。
 
丹澤
屍ってるとか、大分言葉使いが読みやすかったよね。
 
徹平
トークを上げる、ってト書よかった。
 
稲垣
あれ、トークってのはなんなの?
 
南出
帽子だと思うよ、
 
稲垣
あ、でもトークって喋りてのと帽子てのとかかってそうなものでもあるね、
 
南出
もっと、暗いのかなあってイメージだったけど、全然ゴドーの方が暗い気がした。
 
稲垣
たまたま長澤延子て詩人勧められてチラッとその人について語ってる文章読んでたんだけど、終わるところがゴールでなくて終わるところから詩が始まってるって表現の仕方をしていて、これも、そんな感じというか、終わりってのを意識してから、また終わるまで、終わりがゴールでもあるけど、でもそこが始まりでもあるって変な感じだよね。
 
桐澤
クロヴとハムはゴドーのエストラゴンとウラジーミルとの関係性が全然違うよね、上下関係あったり。
 
南出
パワーゲーム面白いよね、基本的にハムにクロヴが虐げられてるけど、ハムは目見えなかったり動けなかったりで、時々パワーバランスが逆転したりする。
ゴドーは来ないことを絶望してるけど、これは終わりがあることを求めてる。死ぬことに希望がある。って感じする。
待つことに関する意味合いが全然違うと思った。
 
桐澤
ハムとクロヴは親子的なものがありつつ、ナッグとハムも親子なんだよね?
 
稲垣
ナッグはハムの父親感あるけど、途中で、お前が一番俺を求めてた頃に戻りたいみたいなこと言ってるし、でもネルとハムの関係わからん。母親っぽいけど、具体的な関係性明示してるのない気がするし、ネルが喋るのって、ナッグとの湖に行った思い出しか言ってない気がする。笑いすぎてボートひっくり返したって変な話。
 
丹澤
ハムはネルのこと昔は美しかったとか言ってる。どういう関係?
 
桐澤
あと、具体的な地名も出てくるよね。
 
徹平
森の深いところでナチスの前線になったところだと思う。
 
南出
戦争っていうものの圧倒的不条理さみたいなのがあるんじゃないか。
無意味さの中の意味みたいなものに光を当てようとしてる感じがした。
別役は不条理劇の中でもベケット、イヨネスコ、をそれぞれ悲劇的な文体、喜劇的な文体で分けて捉えてた。
 
稲垣
プラトンかなんかがなんかで言うんだよね、喜劇を書ける人は悲劇も書けるって、
 
丹澤
喜劇の方はちょっと引いてるよね。距離取るのがうまいと言うか、
 
南出
あー、でも悲劇かける人は悲劇かける人で、入り込めるってのがすごいんだと思う。
 
南出
キリスト教界隈ならもっとわかる言葉があるんだろうな。
 
稲垣
親父、親父、みたいなのが、主よ主よって聖書のとリンクしてるらしい。
ベケット全集の方の解説に載ってる。
他にもそういうところが結構あるらしい。
 
徹平
クロヴてなんでここにいるのか、って思って、
 
稲垣
ハムの長話の中にクロヴの親らしき人に物乞いされて、息子も世話してくれ的なこと言われたみたいな話しがあって、完全にクロヴのことなのか不明だけど、そんな話はしてる。
父親のナッグにはその話長々とするけど、クロヴに話そうとしたらクロヴにチャチャ入れられて上手く話せないみたいなことになってる。
 
丹澤
出て行きたくないんだよ、毎日同じことしてる方がいいって感じ。
 
桐澤
ハムの方は出て行くなら俺を殺せって言ってる。
 
南出
出ていっちゃうと、動けないし見れないしでどうせ死んでしまうしねってことなのかな。
 
稲垣
そのナッグとネルはリアルで考えたら生きてる感ない。ドラム缶の中に入れられて、下半身なく、ビスケットとかちょっと与えられるだけって、なんかそもそも死んでるだろって感じする。
 
南出
犬のメタファーみたいなのあるんかな、従順的な。
 
桐澤
明らかな作り物、何故か三本足、
 
南出
全体的にみんな障害者よな、
 
桐澤
クロブ、ちょっと歩いただけで痛い、座れないって言ってる。
 
稲垣
クロヴの行くよに対して、ハムの行くな、ってやりとりが何回も続けられてくんだけど、途中からハムが行ってもいいのかもしれない、ってなり始めて最後クロブが行くのを認めるって流れはちゃんとあるよね。
 
丹澤
普通にドラマとして成立してて、普通に芝居として面白そうだなって。
 
南出
老夫婦存在感あるよ、実際にイギリスでこの芝居を見たんだけど、本当に老夫婦大事で、コミックリリーフ的な感じ。みんな笑ってた。
ハムとクロブのシーンはシリアスになりがち。
ハムの演技が難しいよね。
クロヴ読んでて難しかった、どれくらい意地悪なのかとか難しい。
 
桐澤
クロブの年齢で全然違うことになるよね、若いと親離れ的な物語になるのかな。
 
稲垣
最後、亡霊とあらゆる者たちと共にみたいなのとか、良いよね。やっぱボンドっぽい。
 
南出
ベケット循環構造してるっていうけど、最後のシーンで、最初のシーン、顔に布かけてみたいなの最初の始まりのト書きに戻ってくる感じがあって、最初のシーンに戻って明日も同じことするのかなって感じする。
 
稲垣
逆に捨てるって行為、犬を観客席に捨てるみたいな、循環できない要素もある気がして、演出次第でって感じする絶妙なラインですごいと思う。
 
桐澤
長台詞の時にお話を考える時の作家の話が出てこない実感みたいなものがありそう。
 
南出
最初の、終わりです、終わりました、が英語の方がカッコいいと思った。フィニッシュフィニッシュって感じで。リズム感すごい良かったんよな。
 
稲垣
リズムって意味では、乗ってきた所で、間、ってのでグッと止まらされるみたいな。変な感じがある。乗りきらせてはくれないみたいな。でも他はリズム良かったりするっていう。
 
桐澤
日本でももうちょっとやっても良さそうな気がするけどね。
 
丹澤
日本だとバケツに入ってるってのが、面白いとしてあまり捉えられないんじゃないか。
戦争戯曲集二部とか海外だと爆笑だったらしいよね。
 
南出
ブラックユーモアの感覚がイギリス人好きよね。
 
稲垣
これ語りの面もやっぱ面白いよね、
ナッグの仕立て屋の話とかとかほとんど落語よね。
 
南出
落ちキリスト教かーいみたいな。
 
南出
誰かに語っているものであるけど成立していないみたいなのが、今までのモノローグとダイアローグの関係を考えてきたのと繋がる気がした。
 
 
★次回、何読むか帰り道話し合った結果、イヨネスコとかアーサーミラーとか色々出たけど、最終的には、近松門左衛門曽根崎心中をみんなで読むことに決定しました。