カハタレ日誌

カハタレの稽古の様子

20220410 桐澤ワークショップ『孤独の記録2022』

★桐澤ワークショップ『孤独の記録2022

ファシリテーター:桐澤

参加者:稲垣、南出、丹澤、徹平さん、桐澤

【当日までの宿題】

「孤独」を感じた瞬間を記録する

1.日時

2.場所(可能ならば詳細に)

3.目に入る固有名詞、音、触れているものなど、(可能であれば詳細に、もしくは特に注目しているものをピックアップして)

4.どのように感じたのか

◎何かその瞬間に思い出したことでもいい。

◎最悪1.2.3.のみでも良い

 

 

桐澤

今日は事前に、二週間の期間のなかで、日々感じた「孤独」について、各自まとめたものを送ってもらっています。プリントアウトしてきたので、まずはこれを黙読しましょう。

丹ちゃんは?

 

丹澤

ないです。鬱々してるところから脱出した時期でして。

 

桐澤

あるある、そういうのあるよ、私も一つしかなかった。

 

徹平

あれ!僕が一番多いやん!

 

桐澤

じゃあ、ちょっと気になったところを書いた人に質問してこう。

みんなには、ここ二週間の中での孤独について書いてもらったんだけど、てっちゃんは11月とか、昔なのも時間書いてくれてるよね。これはどういうかんじでかいたの?

 

徹平

それは思い出して書いたり、写真撮った時間とかをみて。

季節によって、同じ風景に見えたり、その時の抱えてるもので違って見えたり面白いなって。

 

桐澤

ある意味いつも普段から感じてることがあるって感じかな。

 

徹平

東京の大通りでめっちゃデカいトラックが通った時に、ふと、自分を小さく感じたり、することがある。めっちゃ忙しかったり、本番が近かったり。

本番終わった後に放心状態になる。アカデミーいた時、別役実の『象』をやって、はじめての本格的な舞台で、終わった後に耳聞こえなくなって、本番の後にみんなで振り返りしてる時ぐらいにやっと治ったってことがあって。放心状態になりやすいのかもねえ。

 

丹澤

それだけ集中してやってたからって感じね。

 

桐澤

本番が終わってからなんだけど、いい公演だったなーって思えたり、良い関係ができてたっていう公演ほど、終わった途端その人たちと会わなくなるとか、寂しく感じることがある。

 

徹平

孤独って一人の時にくるよね。

 

丹澤

私は逆、人が多いところの方が孤独感あるんだよね。みんな盛り上がっててわたしだけ入れないとか、その時の自分のテンションと周りのテンションと合わないなーて感じる時。

 

稲垣

わかるわかる。立食パーティーとか苦手。タバコ便利やったー。タバコって自分の時間確保できるんだよね。

 

南出

徹平さんの書いてきた文章、なんかめっちゃ仕上がってるなあ。

 

桐澤

てっちゃんの、こっちのも気になる。隅田川のことがかいてあるとこ、お歯黒ドブって表現があるじゃない。お歯黒ドブってどんなとこ?

 

徹平

お歯黒ドブってのは、吉原あたりのドブみたいに黒くて汚いっていう。

水って基本綺麗だけど、溜まってる水って怖いなあーって、そういう感覚をお歯黒ドブにこめたっていうか。

 

南出

ちょうど樋口一葉の『たけくらべ』、読んでて。吉原の話。遊郭関係の仕事で生計を立ててる女の子の話で、つまり、いずれは遊女になる子の話。住職の息子と恋しそうになるけど、互いを意識するほどどんどん会話が噛み合わなくなる、結局私は吉原、住職は住職、思春期から大人に変わる瞬間、感じる孤独。

仲良い人と話しててもちょっと違うなって思った時に、やっぱ他人やな、って、そういう時の方が孤独感じたりする時あるよね。仲いいっていうか、お互い分かり合ってたみたいなかんじがあったからこそ、ダメージおっきい。

 

徹平

ずっと孤独やったら、かんじないかもしれない、孤独。

 

南出

人と関わることで、っていうのあるよね。

 

丹澤

わたしね、友達と長電話した後の、スーンってのがやばい。

 

桐澤

スーンめっちゃわかる。スーンから、グッと孤独に向かう時と、ふっと日常に戻ることがあるよね。

 

丹澤

うん。なんかその日のコンディションとかで違うのよね。なんだろうね。

 

桐澤

あ、ちなみに今話していることからテキスト作って行きたいと思っていて。

だから、どんどんきになること質問していってくださーい。

 

みんな

はーい。

 

南出

ガッキーのやつで、言葉の地雷っていうのがあるじゃん。

 

稲垣

うん。友人がある言葉……言い方?を嫌いだって言ってたんだけど、あれ、その言葉、ついさっき僕も使ったぞ、って思って。あれ、なんか、この言葉を嫌う人がいるって、あ考えたこともなかったぞと。誰かの言葉の地雷、いつも踏まないようにっておびえなきゃいけないのかってちょっと不安みたいななって。

 

南出

言葉の地雷、あるある、わかるわーって思った。

 

稲垣

結構凹んだんだよね。

 

桐澤

頑張って、とか大丈夫、とかって言葉も難しいよね。使っていいのかなとか、迷った時期もあって。今は、すごい頑張ってる人には言わないぐらいにしようってなってるんだけど。

 

稲垣

頑張って、ってある会話を終わらせたいタイミングにくる言葉であるから、難しいよね、代替の言葉難しい。

 

南出

背中を押すときにもいうよね、頑張って、って。

 

丹澤

他に言いようがない時、あるもんね。相手との関係が大事、なのかな。

 

桐澤

そういえば、「オワコンやー」ってガッキー一時期めっちゃ言ってたよね、

 

稲垣

言ってたわ。なんかマイブームみたいなんがあって、一時期めっちゃいう、みたいな。

 

徹平

南出くんのやつなんやけど、仕事帰り、電車乗るまでの。

 

南出

えっと、仕事で遅くなって。まあ最近結構ずっと遅いんだけど。そのとき先輩とふたりで。先輩最近昇進して。帰り道で首都高の下、歩いてて、自分も会社っていう組織の中でエラくなったりしながらいきてくんやなーって感じたときの……ですね。

 

徹平

やっぱり寂しい?

 

南出

その時寂しかった、その日雨降ってて、寒かったし。

 

稲垣

そういうの普通に受け入れてるのかって思ってた。

 

南出

受け入れてるのだが、それをふっと距離取って見ちゃう時があって、出世してくんだろうなーって、先輩とか未来の自分だって思っちゃう。

 

桐澤

その先輩とは、普通に話したりする関係?

 

南出

ちょっとづつ最近打ち解けてきたかんじかな。どっちかっていうと僕から話しかけたりしてて。

 

桐澤

いつもより遅くなる理由とかもあったりする?

 

南出

いや最近ずっと帰りが遅くて、サラリーマンて毎日の繰り返しやん、エンドゲームやんって。

 

丹澤

わかるわかる。私経理やってるけど、経理って本当月のサイクルが同じだもん、飽きちゃう……

イレギュラー入ってきた方が仕事は増えちゃうけど、気晴らしになるなあとか思うよ。

 

徹平

仕事安定すればするほど、小さな世界に閉じ込められる気がする。

飲食やってた時から比べたら、こんな楽に給料もらえるの?って思う時があって、アルバイトには戻りたくないってのあって、けど、振り返ると刺激があったなあって。

 

丹澤

いや、わかるよ、わたしもずっと飲食やってたから……。まだたまに飲食で働いたりするけど、楽しい。遊びに行ってるみたいなかんじ。まあたまに、だからねー。

 

南出

さっきの徹平さんのトラックの話と、小さな世界に閉じ込められる話、すごいわかる。

大きなものに対峙して、小さく感じる時、小さな世界に閉じ込められる。

周りの人も自分をわかってくれないとかも、自分がもっと大きくなる、自意識が過剰化してく。

 

桐澤

首都高の警官が長い棒を持ってるとか、そういうのもなんかあんのかなって。

 

南出

そう、警官が長い棒持って立ってたの。場所柄けっこう警官多いとこなんやけど、そん時は雨の中で一人警官の人がポツンと立ってて、横断歩道の向こう側に、雨がザーザー降ってるっていう。

 

丹澤

警官とかも組織感あるよね。

 

南出

そういうのも自分の心情とリンクしてたんかなあって。

ムーディなもの感じて、自分はそういうの感じたけど、自分はただのサラリーマンだし、みたいなこと感じてた。

 

桐澤

それ思う時あるかも、私のこの感性すごいのにー、って、

貧しい街とか歩いてて、すれ違った人たちが悲しそうやったり、人生抱えてたり、すごいわかって、創作に役立てれたらって思うけど、できないみたいな。

 

徹平

今回、感じたこと書く媒体を与えられて、気づいたことが結構あって。よかったなって。

みんなにこうやって共有したりして、日の目を浴びることでわかることがあるなって。

 

桐澤

えー、てっちゃん、いつも書いてるんかなって思った。筆が乗ってる。

 

徹平

桐ちゃんがあげてくれた例文に影響受けたかな。刺激されて書けた。

 

丹澤

てっちゃんの「時すでにお寿司」も相当パワーワード

 

徹平

これは電車乗ってて目の前に手をつないで座ってる姉妹とお母さんとっていうのがいて、その女の子が「時すでにお寿司」って書かれたトートバック持ってて。そこにガテン型な感じのおじさんがストロングゼロとポテチもって乗ってきて。マスクもしてなくて。ストロングゼロプシュッて開けて一口だけ飲んで余韻に浸ってて。そのあとみんな次の駅で降りて行ったっていう。

 

徹平

普通にパッと見たら仲睦まじい家族と一人のおじさんで。今回、孤独っていうものを意識しながら生活してたから、その家族と対比した時におじさんは孤独なのかなって思ったんだけど、でもそのおじさんも幸せそうで、もしかしたら、毎日のご褒美のルーティーンなのかなとか考えて。

 

桐澤

なんか、すごい幸せな一瞬だったんだね。

 

徹平

おじさんを孤独と決めつけてた自分がいたって気づいて。もちろん家族のほうも、幸せなだけじゃなくて、悩んだりとか苦労してたりってこともあるんだろうっていう、ことも思ったし。

 

南出

この短い一瞬の中にストーリーがあるというか、時間経過があるよね。

 

丹澤

お酒、一口目が一番うまいだろうからねー。

 

徹平

確かに確かに。

 

南出

プシュって瞬間がいい感じするなあ。

 

桐澤

電車っていう背徳感もきっとあるよね~

 

丹澤

このおじさんみたいに、自分の世界に浸っている人の方が幸せだよなって思うことがあるわ。

 

南出

時すでにお寿司がじわじわと意味深に見えて来る。

人生も気づいたら時すでにお寿司、

 

丹澤

私いま珍しいくらい元気で、3月公演終わって放心してたのが、春の陽気も手伝い、行こうと思ってた美術館行けたり、通ってたヨガ教室復活したり、4月でいろいろ動き始めたって感じ。珍しくいい感じでエネルギーがまわっている。充実してるっていうか。

孤独のことは意識はしていたんだけどね。基本孤独耐性は強いんだなって。

でも、コロナの最初の頃とか今後どうすんの感の時は結構落ち込んでたりもしました。

ちなみにちょっと前までは恋愛・結婚についても考えたりしましたが、今はけっこうどうでもよくなってしまった……。

 

桐澤

自分のペースでやってる時に会う人ってのが意外にうまくいくこともあるよ~

 

丹澤

だといいよね~

 

桐澤

みんな東京来てから結構経ってはいるけど、てっちゃんもガッキーも、東京っていうものにしみじみ感じいるエピソードがあるね。

 

稲垣

環七通って、ビル眺めてた時に、今東京にいるーって

孤独って言葉がより広く捉えられるよ。

 

南出

社会的に助けなければならない孤独、孤立ってあって。文学的な孤独ってのとは全然違うよね。

孤独て言葉が広いなあって思う。

死にたいみたいな孤独って感じたことないんだよね。

 

稲垣

坂口恭平が、死にたいに変わる言葉を探さなければ、って言ってて、すごい良いこと言うなって思ったんだけど、

死にたいってのは、「生まれ変わりたい」って思ってるんじゃないか。って。ある日思ったのよね。

 

丹澤

あ、なんか今、転生ものが流行ってるみたいで。いわゆる「なろう系」の流れなんだけど、現在の世界で生きてる自分が死んで、別の世界に今の自分のままの記憶とか知識を持ったまま転生して活躍したりするっていう。そう言うのがいっぱい読まれてるってのが、けっこう不思議だったんだけど、その「生まれ変わりたい」っていう感覚があるのかもなって。

 

桐澤

そろそろ時間ですね。みんなお疲れさまでした!

今日話したことを元に上演テキストを作ってきてもらいたいなって思ってます!

 

【宿題】 一人最低一つ、上演を前提にしたテキストを書いてくる。

・会話でも、ト書きみたいなのでもOK。

・一人でも、何人かでもOK。

・今日の話から影響されて、新しいものをかいてきてもOK。

・最終的に5人で30分くらいの作品にする。

・次回の桐澤WSは5月8日

 

次回は4月24日 戯曲を読むほうは曾根崎心中の予定。

WSは徹平さんの日本舞踊のワークショップです。