カハタレ日誌

カハタレの稽古の様子

禿の女歌手、驟雨、たてつづけに読む夜

20220612夜、参加者、稲垣、桐澤、丹澤、徹平、南出、まりさん、途中から伊原さん

 

  • イヨネスコの「禿の女歌手」(諏訪正訳)読む。



ざっくり内容

英国の中流家庭の室内、英国の肘掛け椅子、英国の夕暮れ、英国の炉端で英国のスリッパをはき、英国のパイプをくゆらせ英国の新聞を読んでいるスミス氏と隣のスミス夫人のもとへ、マーチン夫妻が訪ねてきて、ピンポンなっても玄関に誰もいない事件など起こりながら消防署長さんが参加し、みんなで小噺しあう。女中のメアリーが変な詩を読んでから、その場にいる夫婦二組が変な言葉を吐き出し続け暴走していく。

 

 

佐伯隆幸思い出した。フランスって感じ。

南出

すごく馬鹿にしてる感じ。

最後のやつ、フランス語の崩壊すごいな。

稲垣

翻訳、全然できないよね、この感じ。

 

まり

ダジャレなんだよね、韻踏んでる。

 モリエリのフランス語ネイティブパフォーマンスが急に始まる。

 

みんな

えー、うまー、

 

南出

ベケットと全然違うよな。イヨネスコ。

 

桐澤

不条理劇って言われてこれやったら、ほんまに卵投げたくなるよな。

コントとして言われた方が、しっくりくる。

 

桐澤

題目を言ってから、小噺をみんな話し始めるの面白かったよね。

 

稲垣

花束、ってタイトル普通すぎてウケるわー、



禿の女歌手てタイトル何?てずっと考えて読むけど、意味あるんかな。

 

稲垣

ところでブロンドの女歌手は?って、言いたかったところを、ハゲの女歌手は?って稽古場で役者が言い間違えて、このタイトルになったらしい。

丹澤

本当、意味ないんだと思う。

誰なんだ、いつ出てくるんだ、って不条理さ。

 

スリード感がすごい。

 

徹平

中心がない感じ、メインストリームが何にもなくて、側だけやってる感じ。

 

南出

確かにずっと表面だけで言葉遊びしてるだけ、みたいな。

 

役作りとか、これ真剣に考えたらドツボにハマりそうよね、

 

丹澤

A,b,とかが、言葉の解体されていて、最後のやつとかは教科書の例文とかの文章らしい。

 

最後、強引に最初と同じシーンになって終わるなって。

 

桐澤

困ったらこの作戦使うってのあるよね。

 

南出

ストーリーがないから、ああいうふうにしか終わらせられないって感じ。


稲垣

終わらせるには機動隊を出動させるしかなかった。ってことかね、

多分無理やけど、

 

イヨネスコの授業も、よくわからない言葉遊びを言いたいんやなって、意味があるんか繋がってるのか繋がっていないのかのところで、めっちゃ喋る感じ。

南出

演劇って高尚みたいな芸術感をグッチャグチャにしたいって感じした。

 

コフィクワユレのブルースキャットをやった時、二葉ちゃんがフランス語の原文で読んでいて、すごい音楽的だったの思い出した。

稲垣

時計、ちゃんと数指定してくるのウケる。

 

イヨネスコはト書もセリフも変えたらあかんらしい。

南出

英国を最初のト書から馬鹿にしてる感じ、長い英国の沈黙ってト書が面白かった。

 

稲垣

最後らへんになって崩壊して暴走していくイメージだけはなんとなく覚えていたけど、意外に十一場で変になってから暴走するまでの助走、しっかりあるんやなって、

 

桐澤

ここ盛り上げてきたいんやなって、そう言う意思は感じた。

 

徹平

なんかアングラ感があった。

 

桐澤

機動隊出るとかアングラ感あるよね、

 

丹澤

イヨネスコはルーマニア人とフランス人のハーフらしい。

 

  この辺りで、伊原さんが登場

 

伊原

ルーマニアは東欧、ポーランドの隣、

 

桐澤

女中のメアリーは外国人扱いされてる。

話がこうである、こうでない、ってのでずっと続いてるイメージ、

 

桐澤

話し方の九割が、こうだったらこうだっていう決まりみたいなのを終わらせないようにするみたいなのを楽しんでる。

 

話がすり替わってる、ケムに巻いてる。

 

桐澤

酔っ払った時に、みんな変なくだらない話を順にしてくみたいな、そういうノリって普通にあるよね、

 

稲垣

そう言う意味合いではリアリティあるのかもしれない、

 

ボビーの話面白かった、家族親戚みんなボビーで、そのボビーはどのボビー?って

 

丹澤

マーチン夫妻のずっと記憶にないけどずっと近くにいるって延々とするの面白かった。

 

稲垣

マーチン夫妻のやり取り長いよ、長すぎて腹立ってきたもの、腹立ってきたけど、そのあとメアリーのモノローグで、最後に二人が話す娘の目の色が左右逆ってところで、この理論は破綻してるってくだり、聞いて、あ、そう言うことがしたかったのかって、

 

南出

メアリー、シャーロックホームズって言ってたな、自分のこと。

 

女中だけ、ちょっと違うところにいるよね、観客に話しかけたり、

 

稲垣

なんかやっぱ、小噺始まるところとか今でも使えそうだなって、タイトル適当につけて、それっぽく話すみたいな、日本の古典芸能ぽいとこもあるよね。



ざっくり内容

朋子、譲夫妻の客間に朋子の妹の恒子がやってくる。恒子は新婚旅行から帰ってきたばかりで、結婚したばかりの夫がいかに態度が悪いか、ひどい男か旅行中の出来事、女中に変な冗談言ったり、日本地図書いてみろって言われて書いたら、なんだそれキュウリかって言われたり、友達がやってきて遅くまで飲みに行っちゃったり、等々、を並び立てて、もう無理ってなってる。男ってそういうものよって言っても通じない。譲がその男の身になって、旅行中の行為の弁解を始めるが、それにイライラし始めるのは朋子。新婚夫妻の喧嘩の火が、姉夫婦の喧嘩に飛び火していく。恒子はやっぱり別れると言って帰ろうとするが、驟雨がいきなり降ってきて、みんな無言で見る。

 

稲垣
終わり方、なんかめっちゃかっこいいなって。

 

なんかすごく面白かった、

桐澤

わかる。

 

岸田國士読んだ時、あまり面白いと思えなかったけど、今読んだらこんな面白いんやって。

 

まり

ずっとみんな、ぐねぐねしているよね、

初見だったけど、またやるならもっと抑えてやりたい。

 

徹平

結婚後一週間で離婚どうのこうの言ってるんやって、

まり

新婚旅行行っただけぐらいの時期ってってことよね、

 

桐澤

お見合いとかだから、そう言うのあるのかな、

伊原

譲と朋子夫妻もお見合いなんだろうなって。

 

妹夫妻の話をしながら夫をめっちゃ詰めるっていうね。

丹澤

男って爪切らないし髪の毛ボサボサだし、みたいなこと朋子に言われた譲が、少し後に、思い出したように爪切ってくるって言うの面白かった。

 

稲垣

気にしてんのかーいって。

 

「フレンチアルプスで起きたこと」って言う映画、雪崩が起きた時、夫が嫁子供無視して真っ先に逃げて、妻が子供守って、結局みんな助かるんだけど、その後に夫婦感がギクシャクするって話で、

そのあとのバーの感じの会話がすごいリアル、

夫的にも僕は逃げていないとか言って、すごいギクシャクしながらスキーするって言う。

それ思い出した。

 

まり

芥川も関東大震災で妻子よりもまず自分が逃げたらしい。

 

伊原

岸田國士、大作家と言われるだけあって、日本人の感覚わかってるよね。

 

稲垣

朋子の、こいつとは?、ってキレてるのが面白かった。あの流れの中で妻をこいつ呼ばわりしたら絶対いけない、絶対今言っちゃいけない言葉ー!って。

 

伊原

役者によって全然違いそう。

桐澤

情感が一緒でも個性が立ちそう。

伊原

岸田國士ってそう言うとこあって、すごい不思議、キャラの立ち方しっかりしてるのに、演じる人で違う。現代の戯曲となんか違うよね。

まり

平田オリザ的、って言うのかな、どう言う感情で読んでも話が通るようにできてる。

ニコニコして言っても、怒っていても、悲しさが伝わるようになってる。

伊原

台詞が長いってのもあると思う。

稲垣

イヨネスコの崩壊とは違うけど、日本ぽい、崩壊っていうより、停滞っていうか、うねうねしてる感じ。

 

丹澤

話自体はよくある話やけど、出てくる言葉が面白い、だから楽しめるんだなーって。

 

桐澤

岸田國士の家庭エッセイとか書いたらすんごい面白そうだよね。

 

みんな

それは読みたいー、

 

伊原

当時の人たち、どんな感じでこれ見てたのかな。すごい気になる。

 

稲垣

教訓的なところもあるんかなって、

 

まり

帝劇でこれ見てるんでしょ。

大爆笑とかしてなさそうよね、

 

桐澤

旦那とこれ見に行ってここで笑ったら、え、ってなりそう。

 

伊原

大正時代の寄席の音源聞いたことあって、案外楽しそうなんよね、実は大笑いしながら見てたりしたんかなって。

 

普段夫婦で言えないことを、気まずい思いしながら、劇場で見て楽しむ。みたいな感じなのかな。

 

丹澤

大正の頃だし、デモクラシー、

 

桐澤

急に離婚するとか、そう言う女性が出てきてもおかしくないって時代なのかな。

稲垣

イプセンとか、ノーラみたいな女性の強さみたいなの、確かにあるよね、

 

丹澤

今読んでも古くない、男のその感覚わかるし、女の感覚もわかる、

 

離婚した後の悲壮感みたいなのを私は感じなかった。

 

伊原

演じ方で結構広く捉えられるよね、

 

まり

愚痴を聞いてもらうだけの時間、ってなってる。

 

桐澤

本当それだけだったよね、ある意味ドラマ起こらないと言うか、愚痴だけ言って、男側の代表があーだこーだ言ってくるみたいな。

伊原

そして最後強引に雨、ダーって降らすって言う。

 

天気って言う誰のものでもないもので、そこに留まらざるを得なくするみたいな時間ありきで、そのあと離婚思いとどまることがもしかしたらできるのかなって、希望みたいなことも思った。



桐澤

あの日雨が降ってなかったら離婚してたの私、って感じ、

 

みんな

あーー、

まり

雨降ってきたから、多分ご飯食べるじゃないですか、お腹いっぱいになったらまた気が変わるんだろうなって。

 

伊原

岸田國士がどこの層を切り取ったのか、一般的な感覚なのか、特殊な人なのかって、気になる、

面白いよね。この戯曲。





次回のワークショップは7月10日、中谷森のシェイクスピアレクチャーです。

興味ある人いましたら連絡くださいー。

カハタレワークショップ天国、6月から7月 - カハタレ日誌 (hatenablog.com)