カハタレ日誌

カハタレの稽古の様子

20220710夜、ゴーゴリ「鼻」「外套」読んできた。

20220710夜、ゴーゴリ「鼻」「外套」読んできた。
参加者、稲垣、桐澤、杉原、丹澤、南出
 
ゴーゴリの鼻、外套を読んできた一同。
でかい紙に、気になったこと、感想、好きなシーン、共有したい疑問、連想など自由に言葉にしてみるブレインストーミングをしてみてからざっくばらんに話してみる。

 

 
稲垣
外套はポエジーがある。
 
桐澤
鼻は小話感ある。
 
稲垣
セット公演もできそう。
狂言と能みたいに。
 
南出
語り口が面白い、いかに演劇にするかの面白さ、
 
桐澤
どう信じ込ませるか、
語り口の面白さか、芝居って言い切れるとことか、
 
 
●まず鼻について
 
 
南出
鼻はどうやって出すのか、難しいなあ。
 
丹澤
想像が小説だと任せられる、ビジュアル出しちゃうと違うかな。
 
桐澤
鼻はマスクあったら見ていない。
 
稲垣
顔の上半身よな。今見てる顔って、
 
桐澤
マスクとって鼻がないと本人より周りが困るよな。
匂いがかげなくても、目が見えて、聞こえてたらそんな困らなさそう。
対面に困る。見た目の問題。
 
南出
嗅覚より、見た目が困るよね。かっこつかん。
 
徹平
ピアスしてる人、鼻とか耳とか自由に伸ばしてる、デリケートな部分だけど、そんな風にファッションにできんのやなあって。
 
桐澤
何がなくなったら困るか、
鼻を戦争で削がれるならまだしも、急になくなるのが納得いかない。ってくだり面白いね。
 
稲垣
小説では鼻がなくなってるのを知っているのが主に自分だけど、逆に鼻がなくなってるのが周りだけ気づいて、自分だけ知らないみたいな構成とかもできそう。
 
南出
鼻がないところどうなってるの?
 
桐澤
ツルツル、パンケーキみたいって描写ある。
 
南出
終わり方滅茶苦茶やなのに、語りで強引に終わらせてしまう感じすごい。
 
桐澤
周りの人が誰も共感しない。
話してたよね、鼻と。
 
南出
鼻が眉間に皺寄せてるってどういう状況やねん。
 
丹澤
小説すごいよな、
各人の想像で各々の鼻が生まれる。
 
稲垣
チェーホフの牡蠣と近いよね、各々の牡蠣が頭にある。
 
南出
鼻がまたいなくならない可能性はない。格言めいているのは丹澤さんの言葉か。
 
南出
最後、こう言うことがあるのであるって、言い切ってるの、すごい力技よな。
 
稲垣
自分で自分の小説の穴、欠点を埋めていく語り方してるよね、最後。
 
丹澤
いっとう不思議で訳がわからないのは世の物書きがどうしてこんな不可思議な話を仕立てるのか意味がわからない。ってお前が書いてんだろて。
 
桐澤
鼻なくなると困るが、増えるとどうか、
 
丹澤
過剰に嗅覚が発達するよね。
 
 
●外套について。
 
南出
複式無限能だよねえ、
 
稲垣
外套の幽霊は幽霊の主観的言葉でない、語り手を通した幽霊の言葉。
 
南出
語り手が信用できない感じがいいよね。
読み手に想像させるのがうまい。
 
稲垣
人物が単純よね、外套が欲しい。なくなったショック。って。悲しんで死んでく。
今の自分で考えると、例えばすんごくお気に入りの服無くなっても、ちょっとショックってなるだけで終わる。生きがいみたいなの、楽しみみたいなの多分他にあるし、
アカーキーは外套が生きがいの全てになっている感じ。
 
丹澤
今だと家買ったくらいなんだろうね、家燃やされた感じ。
 
南出
頑張って口説いた奥さんがすぐに奪われるみたいな。
 
桐澤
急に奪われる、天災とかそういうのとちょっと関わるよなあって、ちょっとわかるところがある。
 
丹澤
アカーキーはいい人。
 
稲垣
さるおえらがたの話好き、ひと段落してから、いやそうだよ、ほうそうなの、って言い合ってる感じ。
 
丹澤
友人への見栄、友達いなかったら話聞いてくれたのかなって。
役割がそんな態度させてしまったんだなって。
 
南出
タイミングがもうちょっと違ったならばってとこ結構あるよね。
パーティに行かなければ、とか、外套奪われるとこまでの運命というか、歯車がくるっていく。
 
稲垣
外套奪われる直前の広場の描写、世界の果てとか言ってて、何かが終わる予兆あるよね。詩的。
外套をもらうまでが幸せのピークなんじゃないかって。イキイキしてるし。
もらってからのパーティとか楽しそうでない。
 
徹平
パーティから帰る時、外套が床に落ちているのを拾うくだり切ない。
 
南出
最後奪われてから狂う感じ、幻想見たり、あそこ結構悲しいよね。
外套の大事さが、ロシアの極寒ありき、
 
南出
ペトローヴィチいいよね。
 
稲垣
ペトローヴィチの持ってる嗅ぎタバコの描写細かいんよね。
 
南出
そう言う細かい描写に脱線するんだけど、脱線しても意外にすぐ戻ってくるよね。
 
丹澤
戻し方がうまい。
 
稲垣
キャラクターにまつわる所有物とか、行為だとか癖をすごく描写してくる感じする。
こんな短編なのに、キャラが立ってる。
そのキャラを描写するこれだって文章がうまい。鼻の下僕のイワンとか、天井に唾を吐きかけるのがうまいって説明で、あ、天井に唾吐きかけてたやつだって名前より行為の印象が立ってる。
外套は読むとやっぱ悲しい話よね、後藤明生は悲劇を喜劇化したって言い方してるけど、根本は鼻と比べても大分悲しい。語りの所々で入ってくる人物描写や、癖や、よくわからないこだわりでかなり笑えるんだけども。
 
丹澤
構造的には喜劇よりだと思う。
個々人のやってることが外から見ていると笑える。
チェーホフ的な感じ、笑える感じでないけど、喜劇の構造にはある。
 
南出
死んで悲しいで終わりでなく、
幽霊になっているのが救いがある。
 
稲垣
ただの復讐でなく、幽霊のくしゃみで唾が目に入ったとかどうでもいい話が入ってるのが面白い。
 
桐澤
語り口も噂話っぽい。
 
南出
噂ってのが又聞きの又聞きってキーワードだよなあ。
 
丹澤
作り方として、一つの出来事をそれぞれの視点で出来事を書いてみて、それぞれ繋げてみてもいいのかなって、
あえて、文体違ってもいいのかな。
 
桐澤
それをまとめてる語りの人がいそうやなって。
 
南出
鼻と外套とかって、物をめぐるものってのがいいなって、
概念的でなく、明確なものがあるってのがいいなって思った。
 
 
ここから作り方の話、
一旦鼻か外套をそのまま一人芝居で上演してもいいのではないかってなったりしたけど、とりあえず今日読んだことを受けて、ラフにみんななんか書いてきてみるってのでまとまった。
 
 
 
次回は7月31日。