カハタレ日誌

カハタレの稽古の様子

20220731昼、身体の質感を探りたいワークショップ

20220731昼、身体の質感を探りたいワークショップ
参加者、稲垣、木嶋、杉原、丹澤、南出、まりさん。
 
出崎さん、稽古場にいる。
 
稲垣
うーす、どうもよろしくお願いしまーす。
 
出崎
久しぶりに紙にちゃんとやることまとめて、自分の勉強になったわ。
 
稲垣
そういうのありますよね、もやもやしてることが誰かに伝えようとすることが輪郭はっきりする感じ。
 
  続々、みな登場する。
 
出崎
あ、南出くんのそのTシャツ、俺も持ってます。
 
南出
ええー、これ、良いですよね。
 
  松本大洋、ピンポンのTシャツ。
 
出崎
僕まだタグ外してない。
 
南出
確かに、保管しときたいくらいかっこいいですよね。
 
稲垣
みんなTシャツおしゃれやな。
 
出崎
じゃあ、ポツポツ話しながら始めていきたいと思います。
僕が身体表現始めたのは劇場創造アカデミー修了後、ダンス01てカンパニー入ってからなんですが、
周りの人たち子供からダンスやってる人がめちゃ上手くて、これじゃ勝てないなって、
どう勝とうかてことを僕はずっと考えていて、
 
僕にダンスを教えてくれたのが竹屋啓子、主にモダンダンスを習っているんですが、周りが余りにも技術があるので、それだけでは周りに勝てないなあと思い、舞踏の方法論にも興味をもちその影響を受けながら作品をつくっています。
 
そんなあたりのことをちょっとやっていこうと思います。
まずアップから。
 
まず、仰向けになって床に慣れましょう。
 
●床でのストレッチ
・膝を抱えたり、腰を捻ったり、
・頭のテッペンを床でほぐしたり
 
出崎
頭のてっぺんをほぐす奴、意味わからんくて好きなんですよね、チャクラが出るらしい、ほんまかいなって感じですけど。
 
稲垣
でもスッキリしましたわ〜。
 
出崎
じゃあ次ちょっと歩き回りましょう、空間を埋める意識で。
 
  みな歩き回る。
 
出崎
ちょっとテンポ早目で、小走りで、心拍数上げましょう。
 
  みな、小走りで走る、
  徹平さんの動き機敏だった。
  らんま1/2のじゃじゃ馬にさせないでを思い出した。
 
出崎
はいー、それじゃあですね、皆さん、円になって座ってもらって、左手で三角書いてください。
そして、右手で四角を書いてくださいー。左右の手で別々の図形を書いてみるの続けましょう。
 
稲垣
これは懐かしい。
 
みな
難しい奴だー、
 
出崎
で、ですね、さらに、それやりながら、まわりの、人たちのやってるのを見ましょう。
外への意識を広げてください、間違えても良いんで。
 
稲垣
全然みんなできてるのか分からん。
 
  左手四角、右手三角に変えてさらに分からなくなる。
 
出崎
はいー、ありがとうございます。
基本的に何かしながら、周りへの意識を持つことが大事なのでこういうアップをしてみました。
それじゃ、次、四つん這いになりましょうか。
 
・みな、四つん這いになる
 
出崎
お腹のところに風船があって、それがゆっくり膨らんで膨らんで、その風船に膨らまされる形で背骨を高く膨らまして行きます。膨らみきったら、ゆっくりゆっくり空気が抜ける感じで背骨が萎んでいきます。繰り返してみましょう。
自分の中で風船の膨らむイメージを重視して、それに身体がついていく感じ意識しましょう。
何回かやってると身体が覚えちゃって、勝手に身体動いちゃうんですが、グッと堪えて、ちゃんとイメージ先行意識しましょう。
 
はーい、そうしましたら、今度は膨らんで膨らんで、膨らみきったら、風船が破裂して、ストンと背骨が落ちる感じ。
あ、嘘だな今の動き、って思うことあるんですが、思えることが大事です。
 
じゃあ半分半分で、やってみて、半分の人やってるの半分の人見てみましょう。
 
・背骨が膨らんでストンと落ちるのを見合う。
 
出崎
見られると僕はかなり感覚変わるんですが、皆さんどうでしょう?
 
稲垣
見られてる人によるというか、今めっちゃ内輪な人たちなので、あんま緊張とかはなかったですかね。
 
徹平
ちょっとメリハリつけようみたいな出してしまう感じありました。
 
出崎
僕は結構、見せたがりなんで、やりすぎてまうんですが、見られること意識するだけで、大分身体の感覚変わるかなと思います。
 
じゃあ次はですね、ビー玉が、お尻から入って、それが背骨を通って通って、頭まできて、頭からポトリと落ちるイメージ。そのビー玉を転がす感じで、背骨が動かされるイメージで、
 
南出
ビー玉、腰で止まるんですが、
 
出崎
ヘルプしまーす。(みんなの背中触ってくれる。)
 
稲垣
お尻から身体通ってきて頭から出てきたビー玉ヌメヌメしてそう。
 
出崎
お次はですね、さらにそのビー玉が背骨だけでなく、肩に行ったり、足に入ったり、ビー玉の転がるのに合わせて動いて行きましょう。
 
・半分ずつやって見合う。
 
出崎
皆さん大分良いですね、だいぶ気持ち悪くなってきました。
 
みな
気持ち悪くなってきた?
 
出崎
すみません、僕の中で気持ち悪くなってきたは褒め言葉です。
こういう動きの延長で、手を一歩進めたりすると、大駱駝艦みたいな動きというか、獣っぽくて有機的な動きになってくんですよね、
 
稲垣
有機的な動き、面白い。
 
出崎
西洋的な動きって、線とか面とか意識強くて究極ギリシャ彫刻に近づくイメージなんですが、
逆に舞踏って土着的みたいな感じでしょうか。
 
はーい、じゃ、ちょっと休憩しましょう。
皆さん大丈夫ですかね?
早かったりしませんか?
 
みな
大丈夫ですー。
 
出崎
はじめてワークショップするんで、ちょっと緊張してます。
 
稲垣
全然そんな風に見えないですよ。
 
出崎
ちょっとなんか口調が変じゃない?
 
稲垣
口調結構丁寧ですね。
 
出崎
みんなで円になって動いたりしてるから宗教の教祖になった気分。
 
  なんだかんだで休憩終わって、
 
出崎
じゃあ、次、皆さん知ってますかね、野口体操のワークします。
 
みな
おおー
 
出崎
麿赤兒は舞踏に野口体操持ち込んだらしくて、そういったワークしていきたいと思います。
 
まず、普通に立って、頭の上から糸が引っ張られてるイメージ。
それがプツンと切れて、ふっと息吐きながら脱力してしゃがむ形になります。
その状態の足先からゆっくり水が入ってくるイメージ。
身体はただの皮袋。外からのイメージで皮袋が膨らむイメージ。
膝、腰、背中ってきて、ゆっくりゆっくり背骨が立ち上がっていって、首まで立ってからまた脱力、何回か繰り返してみましょう。
 
・何回か繰り返す。
 
出崎
はーい、そしたら別のイメージで身体を遊んでみましょう。
今度は身体の中全体に砂があるイメージ、その砂が右に右に溜まっていって、右側に身体が沈んでいく。
今度は左に左に移っていって、一度真っ直ぐな身体を通過して、左に身体が沈んでいく。
ちょっと今までより難しいかもしれませんが、やってみましょうー。
 
・まりさん一度だけ壮大に倒れてた。
 
稲垣
確かにこれ、バランス、崩れる。
 
出崎
膝が立ち上がるとこぐいっていっちゃうので、耐えて耐えて、イメージ先行で、
膝のとこ難しかったら、膝曲げるまで行かずに左右の砂の動きをイメージして動かされてみましょう。
 
はーい、ちょっとこれ、難しかったと思うんですが、今度はもう少しイメージしやすいと思います。
頭の上から竿が長ーく伸びていて、この建物の天井超えて、3階建ての天辺まで超える長さの先っぽにおもりがついてます。そのおもりに動かされる感じで、前後、左右、どこまで動かされるか、少しの動きでバランス取れるのか色々イメージしてやってみましょう。
 
まり
後ろに重心が行く方がやりやすい。
 
出崎
ダンスってどうしても身体の前が雄弁なので、後ろに対する動きが疎かになりがちで、
後ろに行くって方が、逆にナチュラルな反応の動きができるのかなって今聞いてて思いました。
あ、良いですね、みなさん、こっちの方がイメージしやすそうですね。
 
じゃ、次行きますね、手を叩いたら、腕を高く広く広げて、息を思いっきり吸い込んで、その息をゆっくり吐きながら身体全体の空気抜くように萎ませていきます。しゃがむとこまでいったらちょっと待機して、手叩いたらまた息を吸い込み腕を高く、って繰り返します。
これ、はじめてやった時、僕過呼吸になったんで、マスクとかしてるし結構辛いので無理せずで、
 
やっぱり僕らがやる動きって呼吸と密接に関わっていて、
ある程度呼吸の調整という、動きとの連動というか、操れるようになりたいんですよね、
 
ま、ちょっと苦しいと思うので、休憩しましょうか。
 
皆さん本当、大丈夫ですか?
 
しんどかったりしませんか?
 
みな
大丈夫ですー。
 
  ・休憩終わる。
 
出崎
次は、歩行のことしてくのですが、
日舞やってる人いたりして、あーだこーだ言われそうだな。
 
みな
誰もそんなこと言いませんて。
 
出崎
歩行なんですが、
頭に水盆、地面に針、歩いた後に残像があるごとく歩く、って歩き方します。
 
稲垣
残像、オモロ。
 
出崎
ある程度緊張感出るのが大事なのかなって思ってます。
 
そして歩いていて、手を叩いたら糸が切れ倒れる。
さっきの野口体操の要領で空気が入るように立ち上がりまた歩行。
 
これを二人づつ歩いてみましょうー。
 
出崎
もうちょっと後ろの残像意識して歩いてみましょうか。
 
はいー、みなさん、さすが、立ち上がるとこなんかは正直何度もやらないとってとこだと思うので、
歩いてる緊張感みたいなの、皆さんくみ取ってもらえてる感じがして、良かったです。
なんて言うのかな、実存が抜ける。って感じ。幽体になる。って感じあるんですよね。この歩き方。
 
はいー、これでですね、修行みたいな時間終わりですー、
こっからただただ楽しいタイムですー。
 
みんな
イエー、っていうか修行やったんか、
 
出崎
身体を皮袋のイメージで、外のイメージで身体変わるってことやってみましょう。
皆さん、今、身体の周りが、プリンってイメージで、プリンの中を少し動いてみましょう、
手とか足とか、プリンの中を動かすイメージ。
じゃあ次はプリンが砂に変わります。
ちょっと質感変わりますかね。
 
・ぬるま湯、寒いとこ、日照り、と変わっていき、
 
出崎
最後、身体の中の関節が鉄になって、動き重くなってきますー。
その鉄もどんどん錆びていって、動かなくなってきますー。
 
はい、
もうちょっとやってみますか。
右肩甲骨、左肩甲骨、右背中、左背中、右腰、左腰、ナンバリングします。
 
まず右肩甲骨にボールがあって、それが転がって転がって右肩甲骨に動かされる感じで身体動かすー、
今度は左肩甲骨に動かされるー。
 
前面の方がどうしても雄弁なので、後ろの方に動かされるイメージも持ってみましょう、今度は背中、腰、
はいー、疲れますよね。ありがとうございますー。
じゃあ、次半分ずつやって見合いましょうか。
 
・右肩甲骨と左腰二つにボール
・加えて、周りがプリンになったり、日照りになったり、要素が増えていく。
 
出崎
ボールに連れてかれる距離感意識しましょう。遠いのか近いのか、焦点定めてみましょう。
あと、見られてるってこともう少し意識して、
見せる意識大事です。
腰、頭、が丸まりすぎると閉じてしまうので、たまにそういう動きで集中させたりとかで使えるんですが、基本開いてる感覚。
 
・結構身体動かして汗だくに。
 
出崎
はいー、ありがとうございました。
以上でワークショップ終わりですー。
 
身体の熱い、寒いとか、空気入れるイメージでとか、自由ちゃ自由だけど、とはいえ振り付けがあるんですよね。ありつつもその中でどんだけ存在感出せるか。動きの技術よりも、イメージの豊富さで面白い動きができるんでないかとこういうワークしてみました。
本日はありがとうございましたー。
 
みな
パチパチー、
 
稲垣
演劇のワークショップとかで、水になったりとかそういうイメージで身体を動かすのよくあるけど、なんか今日は緻密にそういうところをやってくれた気がして、新鮮で面白かったです。
 
徹平
この動きやりやすい、気持ちいいにすぐ自分が甘えちゃうなっておもった。
 
出崎
得意技出しちゃって面白く無くなったりする、自分がよくそうなる。
絶対にやらないよってことをする面白さもある。
武田幹也さんとかは自分が面白くなくなってきたら、絶対にしないって足つきそうなとこでやめて転んだりしてる。
やりやすい手は絶対あって、そことどう付き合ってくか、永遠の課題。
 
徹平
動いてると、中からのものに頼っちゃう、
外との対話をすればするほど、残像が増えるんだろうなって。
 
出崎
踊るってなると自分発信になる。自分発信になると自分は勝てない、みんなうまいから。外を大事にしようって思ってる。
 
丹澤
見られてるの意識して、って言ったら、徹平さんも稲垣も普段やり慣れてる動きになったなって。
 
出崎
普段あまり見られてますとは言わないけど、あまり気持ち良いところにいすぎるとセミナーみたいになっちゃうのね、
だからやっぱりみられてる意識は大事かなって思います。
 
自分が予測したことは大体客は予測できる。
客の方が早いから。
自分が想像できないことの方が面白いのに、作品作るとどうしても集約しちゃう。
 
徹平
誰かと踊る時と一人で踊る時とどっちが楽しいか?
 
出崎
ソロだと、困ったら自分のペースで変えれるけど、最近は人とやる方が楽しい。
人とやると自分の狙っていないところへいきやすいんでないかとおもって、最近は楽しい。
 
出崎
演劇の人の方が人との関わり方うまいと思う。
ダンスだとやっぱ決まってる部分が多いので、自分の持分を一生懸命することで終わっちゃうことが多々ある。
 
丹澤
演劇で言ったら、台詞言えばとりあえず流れちゃう感じ。
やりとりできてなくても。
 
出崎
ダンスの方が、台詞よりそうなりやすい。
演劇よりも関係性とれてなくても、流れていっちゃう。成立しちゃうように見えちゃう。
ダンスの方が、振り付けできた時点での担保が高い。
 
稲垣
それ面白いよね、何で逆に演劇ってセリフ覚えた時点での担保がないんだろって。
 
まり
踊りの方が安定してる。
どっかで急になんかやってくださいって時に、演劇は不安定。ダンスはパッと踊れそう。
 
木嶋
一人芝居とかならできるのかなって。
 
みんな
あー、
 
稲垣
いつでもさっと一人芝居できる人てこの世の中にどんだけいるんだろうって。
あ、こないだまりさんが話してくれたでも瞽女さんみたいな、点とかで繋げてみたいな即興的なものとかだったらストックしたりできそうだなあ。
 
出崎
大枠の正解とかそういうの持ってるんだろうね。そういう人たち。
 
丹澤
落語とかそうだよね、その日の客の様子とか見て、今日この演目やるかってパッとするよね。
 
徹平
日本舞踊は流派にストックしてるやつをやる感じ。
日本舞踊こそただその曲踊るだけでできちゃう感じになりやすい。
 
出崎
型が強いから、型の中で関係性とか練り込まれてそう。
 
まり
めちゃくちゃアクロバットな動きをする訳ではない分、生きた、実のある踊りをしないと持たせるのがモロに厳しい感はあります。
 
出崎
歳とれば取るほど深まりそうっすね。

以上ですー
出崎さんありがとうございましたー。

ファシリテータープロフィール

出﨑 洋樹 Desaki Hiroki
1990年和歌山生まれ。和歌山大学教育学部を卒業後、劇場創造アカデミーを修了。2015年よりダンス01に所属する。近年はダンス01公演を軸に、佐藤信、ソ・ジヘ、ティラワット・ムンウィライ(kage)、田村一行(大駱駝艦)、ゲッコーパレード等の公演に出演。