カハタレ日誌

カハタレの稽古の様子

浅川奏瑛WS「空間と身体のコレオグラフィ」

20201014
参加者、稲垣、丹澤、南出、宮尾、秋場、松丸、木嶋、旛山月穂、寺岡慎一郎、出崎洋樹
 
稲垣
ワークショップ久しぶりだなあ。
 
南出
そうか?
 
  稲垣、ソワソワして稽古場のドアを開け閉めする。
 
南出
ソワソワしてんなあ。
 
稲垣
じゃあ、まあ自己紹介しましょうか。
 
  みんな、自己紹介する。
  そしてしれっとワークショップがはじまりはじめる。
 
浅川
浅川奏瑛です。
普段はダンサー振付家として活動しているんですが、最近は観客の前で言葉を扱うことについても興味があります。
今日は空間の居方について、ダンスも芝居もお客さんに見てもらうもの、どう言うふうに今見られてるんだろうと認識しながら舞台に立つことについてやっていきたいと思います。
 
とりあえず、全員でストレッチまわしていきましょうか、
みんなで真似するってのが意思の共有としてもいいかなと。
 
⚫︎ストレッチ、一人がやるストレッチを円になってみんなで真似る。順番にストレッチを先導していく。
 
 
・バランス崩れるのも真似られて、あ、今のは崩れただけだからってなる。
・流れてる音楽の中で出てくる声を、誰かが喋ってるのかと思ってびっくりする。
・その声をみんな真似し始める。
 
⚫︎足の指の間ほぐし、大腿内側の血海てツボをぐりぐりする。
⚫︎前後にお尻歩きからの円になって手を繋いで、手と手の間を抜けていき、絡まるのかと思いきや、絡まない感動体験をする。(言葉にするのが難しい)
 
みんな
うおおおーー、なんだこれ、なんで絡まないんだ。
 
宮尾
40年近く生きてきて、こんなの初めて知った。
 
浅川
子供のワークショップでこれをやると、みんなすごい力で四方八方に引っ張ってすごい、
 
稲垣
子供これ好きそうだなあ、
 
浅川
次は空間把握をメインにしていきます、
 
⚫︎歩く、空いているところがないように。
・埋めるように、さっき緩めた足の裏全部使うの意識。
 
⚫︎番号を浅川さんが発すると、以下を実行するルール。
 
1歩く
2とまる
3後ろ歩き
4床使って移動
5ゆっくり
6スピードアップ
 
⚫︎番号を誰が発してもいい。
⚫︎ボール追加され、パス回ししながら。
⚫︎しりとりも始まり、ボール、しりとりは止まらずに
 
・空間把握しながら頭を回していく。
・木嶋さんにしりとり回る率がめっちゃ高い、
 
木嶋
「ろ、ろ、露見する」
 
みんな
動詞?
 
  休憩
 
稲垣
音楽、消えたからか、清々しい、清々しくはないか、なんか静かだね、
 
秋場
音楽ないとスカスカな感じするよね、
 
松丸
サウナ後の、フワー、って感じ。
 
浅川
ストレッチ、音かけた方が上がりやすいなって。
 
宮尾
アスリートとかも音楽聴きながらやるよね、
 
浅川
それでは、ものと身体について動いていきたいと思います。
二人組を組んでもらって、そうだなあ、なるべく、身長差ある人たちでペア組んで欲しいかな。
 
松丸
背の順に並んでから決めましょうか。
 
  と、みんな背の順に並ぶ。
 

 
宮尾
背の順に並ぶとか久しぶりだなあ。
 
浅川
ダンスの世界では結構、背の順でペア考えたりしますね、
 
⚫︎色々な物(乾電池、マジックペン、ボール、流木?)を二人で指一本づつでバランスとって動く。
 
・動きを導くリーダーを最初決めて、リーダー変えたりしながらどんどんどっちがリーダーかわからなくなる。
 
浅川
だんだんみんなの関係性が見えてきて楽しい、
 
・風船難しい
・と、思ったら乾電池の方が難しい
・受けが得意の人、導くのが得意な人がいる。
・慣れてきた人たち、はしゃぎ始める。
・ボブディラン流れる。
 

 

 
 
浅川
次は、よりダンス的なことしたいと思います。
 
 
⚫︎二人組で鏡のように向き合って動きを真似し合う
 
浅川
真似をする、動きを捉えるってのは自分が舞台上でどうやって動くのかに関わる。
相手を真似することで自分もその体になってるってことを学ぶ。
 
・お互いの距離を徐々に広げていく。
・間に人が入ってきたりして各ペアが干渉し始める。
 
浅川
いい感じに混じってきましたね、じゃあもう二人組み解除して、誰がなんの真似をしているのかわからないくらい、いろんな人を真似始めましょうか。
 
・この人って真似してて、ふと辺りを見回すと全員盆踊りしてて衝撃。
・いろんなブームが来る、デューク、変顔、手スリスリ。
・文明が起こっては消え起こっては消え、を繰り返す、火の鳥未来編を想起する。
 
 
⚫︎2、3組づつ見る(見たり、見られたり)
 
・ふわふわ系のペアとガチ系のペアと異文化が交流してて面白い、
・3組いっせいにして、カオスだったっぽい、最後は、手を繋いで絡まないやーつーで締める。
 

 

浅川
ずっと見てられる。
惑星ができた瞬間に見えたり、新しい物語が生まれてくのが面白い。
やってる側からすると相手のことを意識してるだけなんだけど、
見てる側は空間全体を捉えてるのでもっといろんな情報が得られる。
特に今のは対象の動きが入ってるので、絵画的な面白さがあった。
 
南出
音楽でかいなって、相手とのやり取りもそうだけど、音楽に無意識に操られているかもしれない。
 
  休憩
 
稲垣
ダンサーの人たちって常にいろんな曲持ち歩いてるよね、あれはどうやって探すの?
 
浅川
つくってもらうこともある。
舞台で使うナマモノを作っているのに、完成された曲を使うってかなり難しい。
 
私の場合好んでいるのはアンビエントミュージック、ネジが転がる音とか。
実家が工場でそれが子守唄だったせいか、ネジとか硬い音が好き。
 
稲垣
へえ、僕はJ-POPしか聞いてこなかったからなあ、中森明菜聴きながらストレッチしてもしょうがないもんなあ。
 
浅川
最近、ダンス公演で歌謡曲使うの流行ってますね、オムニバス公演とかあると大体一組くらい使ってる。最近は中島みゆきで踊っているの見た。
ザ・ピーナッツとか好きですか?
 
稲垣
めっちゃ好きですね、妻と二人で家で踊ってますよ、パヤ、パヤパヤって。
 
  休憩終わり
 
浅川
最後にこの空間の身体とものを使って、空間を立ち上げていきたいなと、
まずはこの空間の中でお気に入りの場所を決めて、そこからスタート。
 

 
三つのルール
・関係性を持ち続けること。
決めたお気に入りの場所と関係を持ち続ける。
例えばこの床が気に入ったら、常に床と関係を持ち続ける。
 
・常に見られている意識を持つこと
 
・フィーバータイムが始まったら、全部壊してフィーバーする。
 
浅川
色々ものを持ってきたので、これらを駆使したり、身体を使って空間をデザインしていけたら。
 
 
⚫︎お気に入りの場所から空間の拡張
 
・全体を把握しきれないので、気づくと誰かが変なことしてるって現象面白かった。
・寺岡くんが窓のブラインド開け閉めしてたり、ホワイトボードにカラフルな布ぶら下がってて、誰かがここで何かしてた形跡があったり、
・糸が高さを出してくれて面白かった。
・カッパの存在感
・ラジオの劇的さよ
・人を真似始めると笑いが伝染する
・声だけシーン楽しかった
・手を振ってるの、寂しかった。
・フィーバータイムの後の、終わるか終わらんのかどっちなんだい感好きだった。
 
  終わって散乱した世界

 
浅川
空間、相手、自分自身との関係というのは舞台立つ上で常に考えることで、今日はそういうことを中心にやってみました。
 
 
  と、話してる最中に稲垣はiPadを探し始めて右往左往する。
 
 
みんな
まだパフォーマンス中ですか?
 
浅川
こういうことしてるとパフォーマンス中と普段の境界が曖昧になりますよね。
 
稲垣
すいませんー、
 
⚫︎みんなの感想
 
南出
やってると、いろんなことが起こってるけど、自分のやってることに夢中になってて、相手がアプローチしてくれてるの無視しちゃったり、難しかった。
稲ちゃんが椅子を持ってきてくれた時、すごく嬉しかった。関係してくれてるんだって。
 
浅川
いつもは三時間くらいやるので今日は短縮バージョンです、それでも楽しかったです。
自分のお気に入りの場所決めて、空間と関係作っていって、情報量が多くて難しいんだけど、、それでもパフォーマンスにしていく。
この空間でこの人数は少し多い。
 
丹澤
即興のダンサー二人のパフォーマンス見たの思い出して、なるほど、と、
 
浅川
即興って全部の選択がパフォーマンスになるから。
 
寺岡
私は、主観的な感想ですが、俳優とかでもないので、やっていて、見られていることって意識ができなかった感があるけど、自分がそこにいて、何かをしてたなって、誰かと関係できたり、離れたりが面白かった。
真似しながらとかを外から見てるのととやってるのと面白さが違って、客観的に見たらどうなのかって思った。
 
浅川
わたしは今日見ていた側だったわけですが、面白かったですよ。
2チームくらいになって見る側見られる側に分かれてやっても違う面白さがあったかも。
 
丹澤
見られてる意識ってのがあるとないとではどう違うか。
 
浅川
普段、生活していて見られている意識はないですよね。
私の場合は、急に舞台に立った時に、萎縮してしまって、感覚に膜ができる意識がある。
稽古場の時の楽しさを本番の時だせないなって時に、そういう膜を取り払うにはどうしたらいいだろうって考えていて、普段から、見られてるって意識を持つこと、どの角度からも見られてる意識があると、日常から舞台にスムーズに入れないかなと。
 
丹澤
お客さんがいる時とお客さんいないでは違うよね、
 
浅川
パフォーマンスやってると内に篭りがち。
お客さんに向けて開く意識が重要。お客さんは閉じているとわかる。
自己満足で終わらないがポイント。
ボールとかペンとかをペアで支え合ってっていうのも、感じ合う稽古、開いていないと相手を受けれないってこと。鏡もちゃんと捉えるのが重要。
 
稲垣
ミラーリングの時、相手と合わせなきゃいけないけど、合わせやすい動きばかりしててもなあって、ちょっとチャレンジせなばって動くけど、これついてこれるかこれないのって葛藤が楽しかった。
 
浅川
葛藤してるってのも、外から見てると面白かった。
 
出崎
前に出たがるタイプなんで、ミラーリングの時、できるだけ相手からもらおうとして、もらおうとしすぎてガチすぎるって状態になってた。
考えるとダメなんだなって。
 
月穂
空間を知ることがそういうことかって思ったのは、小屋入りして、場当たりとかで、歩いたりしてるんだけど、空間を知るとは?って今までなってて、
今日色々やって、この空間なら今はわかるってなってる。後ろがどこまであるかとか、高さとか。
知らない人たくさんいて本当は怖いはずなのに、こんだけ動いたら、この空間は怖くない。
空間を知るってこういうことなんだって
歩くだけじゃわかんないなって、高さとかあるし、もっとがむしゃらにめちゃくちゃ動き回るべきなんだなって。
 
浅川
後ろ向きで歩くのとか、結構重要、普段の感じと違う状態でいることが空間把握につながる。
あとはとにかく見ること、高さ、客席何人いるか、とにかく把握すること、立って見てるだけでもだいぶ馴染んでいくなって。
 
月穂
四足歩行とかも、横尾さんがおすすめしてて、やっぱり大事なんだって。
 
アキバッチョ
関係ですねえ、人間関係とかも同じだなって。
お客さんから見られてる意識とか、即興的にミラーリングとか、パフォーマンスにしないといけないけど、やりすぎてもなあって、でも勇気持っていかないと、勇気大事よね。
 
宮尾
不安になる感じ、最後の方とか、何人かで同じグルーヴを共有できているけど、これ俺だけ感じてるやつじゃないよねって不安になる、
触る、見るだけじゃなくて、そっぽむいて全然違うことしてても、関係してるってのがあると思った。
 
アキバッチョ
楽しい瞬間があって、それは信じていいんじゃないかって。
 
浅川
多分それは共有できてた気がする。
言葉使ってないのに、みんな同じ人見てたり。
 
宮尾
子供の頃遊んでた時の感覚があった。
さっきまで砂遊びしてたのに、いつのまにかボール遊びになってるみたいな。
 
浅川
子供は知らないことはたくさんあるけど、わからないことは何もないんだよってある演出家が言ってて、それを今思い出した。
 
松丸
ペアの時、気を抜いて、自分の手癖で動いてしまった時に、相手にそれをトレースされるのがすごい恥ずかしかった。ビデオでそれを見る時みたいな。
見る見られる感覚と、全員で同じ動きしてる時の感覚が違って面白かった。
盆踊りしてた時、見ている見られているのがなくなって、全員楽しかった。
 
出崎
なんか一緒にならないと不安になる。
 
南出
ちょっと怖いよね。
 
松丸
自分が違う動きをすることを諦めた時にああなるのかなって。
 
丹澤
勇気が必要だよね、
 
アキバッチョ
でもすべりたくない、
 
松丸
動きの流行の変わり間際の上半身は次の動きで、下半身は前の流行の動きをしているバラバラ感あった瞬間面白かった。
 
 
みんな
楽しかったー、そして何かに活かせそう。
 
 
  と、終わってから木嶋さん宮尾さんの持ってきてくれたお土産をいただきながら雑談し、