カハタレ日誌

カハタレの稽古の様子

横尾圭亮WS 【ゴーゴリの外套 〜"小さき者"を巡って〜】

横尾圭亮ワークショップ
ゴーゴリの外套 〜"小さき者"を巡って〜
 
参加者、稲垣、丹澤、南出、アキバ、あさき、伊原、平井、渡邉
 
●初めて会うって人たちもいるのでペア組んで他己紹介
 
・好きなこと、嫌いなこと、外套の印象、小さき者ってなんだろう、ってことを1分くらいでお互いに話あって相手が話したことを発表。
 
●夜で眠くなるかもなんで身体動かすワーク
 
  ここで渡邉さん、登場。
 
渡邉
失礼しますー。
 
稲垣
あーどうもどうも、はじめまして稲垣です、みなさん、今回照明で関わってくれる渡邊さんです、
 
みんな
よろしくお願いしますー。
 
渡邉
よろしくお願いしますー。
 
稲垣
めっちゃ、身体動かしまくってるタイミングなんですが、やります?
 
渡邉
やりますやります。
 
 
  と、いきなりストレッチに参加してもらう。
 
 
横尾
気をつけてね、稲垣さん足リラックスして、
 
稲垣
ああああー、こわいー。でも生まれ変わった。
 
みんな
あーー、たのしいー。
 
 
  そして休憩
 
 
●講義へ
 
  横尾、ホワイトボードに何やら書き始める。
 
アキバ
これは、勉強だなあ。
 
稲垣
シンプルな感想!
 

 
 
●ロシア演劇の流れについての講義
 
・スタニフラフスキーと当時のロシア演劇についての話が繰り広げられる。
ドストエフスキーのリアリズムの細かさ。
・ストックキャラクターって、当時のキャスティング方法の話。
 
などなど。
 
 
●文学的類型について
違った作品の登場人物なのに、どこか似てる登場人物。
 
・余計者とは?
 
参加者からの声
いなくてもいい人、
余計なこと言うひと、
 
実際は
高い地位にいて、お金もあるのに、社会のこと嫌いになって生きる意味がないって思って、何もしない人。
 
・気高き野盗とは?
 
参加者からの声
石川五右衛門、弱きを助けて見たいな。
 
実際は
大体合ってる。高い身分にあったが、なんらかのトラブルに巻き込まれて低い身分に身を窶す。
だが誇りを忘れずに行動する。
 
・侮辱されし者とは?
 
参加者からの声
倫理感に欠けた人。
ルールを守らない人。
 
実際は
社会的には高い位置にいなくて、金銭的に恵まれていない。
自分の意思を持っているが、実行できない人。
 
・ニヒリストとは?
 
参加者からの声
宗教観を持たない人。
科学を信仰していない。
タバコ吸ってるイメージ
現実主義、情より金だ、
合理主義
芸術とか無駄だと思ってそう。
 
実際は
貴族趣味、美、合理性を否定している。
「父と子」のバザーロフなど。
さっきの余計者とは違い、めちゃくちゃ行動する人。
 
 
参加者からの声
リチャード3世。
バッドマン。
 
実際は
悪いことをしてでも強靭な意志を貫く。
自分の目的のために手段を選ばない人。
ヒーローと違い、倫理観を持たない。
 
・小さき者とは?
 
参加者からの声
身分高くなさそう、
弱い
強靭な精神を持ってない
自分のことで精一杯
毎日腹ペコ
他の状況に巻き込まれる。
 
実際は
身分もはっきりしていない人が多く、お金も精神性も教養もあるわけでない。
だけど、悪い人間ではない。現状を変えようと意志を持たないから、社会の問題に巻き込まれる。
 
 
●出来事と事実の違いについて
 
・当人にとっては出来事だけど、周りの人物にとってはただの事実、こういう違いが劇を生んだりする。
 
●最後に、現代の小さき者についてみんなで考える。
他の類型、余計者だとか、侮辱されし者だとか、気高き野盗、なども含めて。
 
アキバ
普通に今、我々ほとんどが小さき者だと思う。
 
誰か
ホリエモン、ニヒリスト
 
誰か
ひろゆき、ニヒリスト
 
誰か
メンタリストDAIGO、アンチヒーロー、だけど、余計者でもありますよね、
 
アキバ
与太郎、落語とか、
 
伊原
ツイッターのつぶやきとかみんな小さき者って感じしますね。
 
南出
ちいかわとか、
 
横尾
おぱんちゅうさぎ、小銭ぶちまけるんだけど誰も拾ってくれなかったりする。
バシマーチキンっぽい。
 
稲垣
みんな、強靭な精神性を持ってないし、身分もお金も特にないので、みんな小さき者って感じもあるけど、バシマーチキンの雰囲気とはなんかちょっと違いますよね?
 
横尾
バシマーチキンはつまり、社会の歯車の中で犠牲になっちゃう人、破滅しちゃう人。
もしかしたら他の人にとってはどうでもいいことで、破滅してしまう。
今で言うと、外套って何にあたるでしょうか?
 
伊原
車みたいなもの、
 
横尾
なるほど、外套もある意味通勤手段ですよね、
自転車、バイク、車、とか、
 
ボロボロの原付壊れて、新たに何か買うみたいな。
 
アキバ
デザインとか興味なさそう。
 
横尾
バシマーチキンに関しては、最初は興味ないんだけど、仕立て屋のペトローヴィチに色々そそのかされて。興味持っちゃう。
 
伊原
パソコンとかも最初全然興味なくてただ必要性だけで求めてるんだけど、店で見ていると、色々興味出てくる。
 
横尾
パソコンとか、車とかそんなところでしょうか。
原作では年収の4分の1以上の値段、高いですよね、当時はユニクロとかありませんから。
車、時計、自転車とかですかね。
車って言ってもポルシェとかでないもの。
 
伊原
今の日本の公務員って、バシマーチキンほど下には思えない。
 
横尾
職業的には、五十歳超えてて、奥さんいなくて、外套を奥さんぽく思っている。
若者の車離れ、都市部はみんな持っていない。
地方都市はみんな持っている。地方都市の車って生活必需品、
 
南出
現代の人、推し、って考え、推しが結婚とか、犯罪犯したりってのでだいぶショックみたいなのがある。
 
横尾
なるほど、推しも、当人にとっては出来事なんだけど、その推しのことを知らない周りからしたらただの事実ですもんね。
外套、推し活してるけど、見えないもの、周りの人からかわいそうってなりにくいのかもしれない。
 
稲垣
外套ってこだわりというか、こだわり以前のものなんだけど、そもそも、バシマーチキンが外套ってものを意識するまで結構、彼なりに楽しんでで幸せであったんじゃないかと思うんですよね。だけど、外套を買わなければいけないってなって、目に見えてバシマーチキンはイキイキしてくる、それこそ妻がくるのを待ってるように外套を求めはじめる。そうならなきゃ不幸にならなかったんだけど、なってしまって悲しい結末が待ってる。逆にいうと、それまで細々してた生活は、本当に幸せだったんだろうか、って思うんですよね。
 
伊原
目的が見つかったのに、見つかって手に入れた途端、失ったって話だよね、
 
 
丹澤
はーーい、すみません、時間です。チャチャっと片付けてここを後にしましょう。
横尾さん、本当にありがとうございましたー。
 
 
みんな
ありがとうございましたー。
 
 
その後、行ける人で、ガストへ。
 
・アキバ氏のシャカシャカポテトの振り方が良かった。
・平井くんが、注文めっちゃ管理してくれた、ごめんね、そしてありがとう。注文するiPadみたいなの持ちながら、「僕、機械好きなんで、」って言ってた。いやそんなわけないでしょ!?
・横尾さん、西洋剣術が、シェイクスピアのセリフのリズムに関わってくるって話めっちゃ面白かった。持ってる剣で変わるらしい。身体性の素晴らしさよ。
 
 
前回、蛙坂須美さんの幽霊ワークショップと全く違う角度というか、外套に真っ向からって印象で。幽霊方面からでない、リアリズムの人間方面から、外套について考えさせてくれるワークショップでした。楽しかったし、勉強になったー。
特に事実として捉えてるか、出来事として捉えてるか、はどの戯曲読む上でも沸き起こる問題ではないかと思う。
 
横尾さん、参加してくれた皆様、ありがとうございましたー。