カハタレ日誌

カハタレの稽古の様子

20220424昼、日舞ワークショップ

日舞ワークショップ
小唄「白扇」を踊ります。男踊りバージョン、女踊りバージョンで。

ファシリテーター
坂東志賀太郎(徹平さん)

参加者
稲垣、神田、木嶋、桐澤、丹澤、出崎、南出


●みんなで和服に着替える。

徹平
まず簡単にレジュメを作ってきたんで、軽く目を通してもらえたらと思います。基本の部分だけ少し。
「虚の身体」っていう考え方があります。さっきガッキーが今日は寝不足やねんーって言ってたけど、そういう日常的な身体を一切捨てたところから稽古を始めます。
あと、男なら女踊り、女なら男踊りを習います。お能では神の依り代となるために性を転換して舞うってのがあるらしいです。こういう考えが日本舞踊でもベースになっています。
「舞う」って言葉はもとは「廻る」って意味らしく、お能では廻っている間に何かが憑依するってのがあります。日舞でも役を替える際、場を清める際によく回ります。

あと腰、日本舞踊では、腰を少し入れた状態が基本姿勢となります。真下に重心を落とします。
この間ガッキーと行った能の体験ワークショップでは、前のめりに体傾けていて、体の使い方が全然違うなって思いました。日舞では基本は真下です。下半身を安定させることで、上半身が結構自由に使えるようになってます。

じゃ、今日は、「白扇」という短い踊りをみんなでやってこうと思います。
「白扇」っていうのは結婚式でも踊れる御祝儀曲で、僕の流派では扇二つ使うんだけど、二つの白い扇を新郎と新婦に見立てて、おめだとーってお祝いする気持ちを伝える曲です。

男踊りのバージョンと、女踊りのバージョンがあるので、どっちもやって、身体の使い方の違いを少しでも体感してもらえたらと思います。

まず男踊り、僕が踊ってるの見てもらいます。

●徹平さんの舞踊を見る。

みんな
おおー、パチパチパチパチー、

徹平
唄の内容はこんな感じです。(歌詞を見ながら)

 


まず、最初の二行、白扇の話をしてます。扇の形そのものが末広がりで、末永くお幸せに、銀要、この扇をとめている、銀のところ、この銀要のように堅い契りでありますように、と唄ってます。
次の二行が松の話、松は常緑樹で、ずっと緑で縁起いいとされてる。深緑というのは、さらに深まるご縁でありますようにという意味です。
それから池の話になって、波風立たないこの池のように、穏やかなお二人が、
最後、羨ましいではないかいなー、と結びで気持ちを伝える、三者の目線で終わります。

みんな
ほええー。

徹平
それじゃあ、みんな男踊バージョンからやってきましょうか。鏡見ながら、この部屋の鏡ウネウネしてて酔うので、酔わない程度に見ながらで。あ、まず、歩行だけしてみましょうか。
基本的には踵を合わせて、肘を張り、重心真下、丹田を意識しながら、踵が正面に延びる一直線を通るように意識して歩いてください。これが男の基本の歩行です。

●みんなで歩いてみる。

徹平
あ、良いですねー、
じゃあ、次はみんなで踊ってみましょうか。

●みんなで踊ってみる。

みんな
難しいー、

徹平
もちろん難しいですよね、僕もこれをちゃんと踊れるようになるまで何ヶ月もかかりました。
(何度か繰り返し)
じゃあ、一つ一つ振りを丁寧に解説しながらやってみましょう。

以下、色々出た話。
・三つ首って動きがあって、正面向いている時に、左、斜め、正面って具合に三段階に首を動かし正面に戻ってくることで、正面を向くことが強調される。三つ目の正面向くところは少し柔らかくしても良い。おめだとうの気持ちを込めることが大事。
・扇が主役、新郎新婦的にも絶対落としちゃダメだし、大切に扱わねばならない。
→扇が主役ってした時に、この操ってる人って誰なんすかね、と南出、
→基本、感情を直接的には表現しないけれど、宴席のシーンでは私的なお祝する気持ちを出しても良いと思う。歯を見せない程度ににこやかにキメることもあります。

●徹平さんの見ながら途中までみんなで踊り。

徹平
大体みんないい感じになってきたので、次、女踊りバージョン行ってみましょうか。

みんな
はーい。

徹平
じゃあ、まず僕が女踊りやるの見てくださいー。

●徹平さんのの女踊りみんなで見る。

みんな
おおー、全然違う、すごい、曲線美だ。足が全然違う。

徹平
そうですね、結構、女踊りの方が難しいかもしれない。まず、女の歩行してみましょうか。
基本的にさっきの男踊と違って、女踊りの方は、つま先を合わせる感じで内股の状態で常にいる感じ。それで今度は、つま先を正面に延びる一直線を通るように意識して歩いてください
じゃ踊ってみましょうかー。

色々出た話。
・女踊りは大抵キマる時、斜め45度を向く。足を掛けるって言うんだけど、片足をもう一方の足の前に持ってきて、その状態のまま正面を向くので、フォルムがS字の形になります。それが曲線美の正体です。
・とにかく女踊りは股が割れるのを嫌う形になります。基本的に、パンチラさせないような動きになっています。
・女踊りは男踊りのようにはっきりと動かない分、その間を埋めなければならないので難しいですよね。
・あと、上半身を柔らかく動かせるよう、基本は柔らかい呼吸にならないといけない。


徹平
じゃあ、二グループに分かれて発表しましょうか、もちろん僕も前で踊ります。

●見せ合う。

徹平
あと、お楽しみコーナーとして、歌舞伎的な動きもちょっとしてみましょうか、見得切ってみよう、あ、この草履があるので、これで附け打ち、カッカッカッカ音出そう。

●ちょっとだけ練習して、一人一人やる。

南出
楽しいけど、恥ずかしいな。(南出くんが何気に附け打ちうまい。

出崎さん、決まりまくる。様になってる。迫力ある。
稲垣、呼吸はいいけど、手が後ろにいっちゃうと形が弱くなる。首の向き間違える。
南出、独特だけど良かった。トリッキー。
丹澤、なんかよかった、呼吸が良い。
木嶋、めっちゃ間違ってたけどかわいかった。
神田、手が前に出てて力強かった。目力がある。

みんな
パチパチパチパチー、おおー、すごく楽しい。

●最後に徹平さんが今稽古してる演目など、結構激しいやつを少しだけ見せてもらう。

みんな
おおー、すごい、結構激しい。

南出
能と近しい動きが結構あるんだなあって。

稲垣
大きく違うのは表情が豊かよね。
あと地べた座る女踊りはセクシー。

丹澤
止まり方ピシってしていてすごい。

出崎
首がすごい。

稲垣
目線がすごい。
指先がすごい。

みんな
色々すごい、わー。

徹平
以上で終わりになります、ありがとうございましたー。

みんな
パチパチパチパチー。

出崎
言葉が多いなってのが面白かった。この動きはこう言う意味があるとか。色々はっきりあって、西洋舞踊と違うて思った。
振りがあると共有しやすい。

桐澤
演目の一番大事なところを掴むのが大事なんだなって感じた、

徹平
白扇の場合はお祝いする気持ち、おめでとうって気持ちが大切
扇子をうまくにぎれているかとかより、

桐澤
座敷遊びで芸妓さんに踊ってもらうとか、間近で見たら惚れちゃうんだろうなって思った。

徹平
息遣いまで聞こえる距離だと一層ですね。呼吸が一番大事、僕もまだまだで、筋肉に頼って動いてるうちはまだまだって感じです、

桐澤
筋肉的な力に見えるけど、それよりは呼吸が大事ってことか。


稲垣の感想
日舞の極意をサラッと教えてもらって、特に三つ首って動きの首や目線の使い方がなんか今後のパフォーマンスに活かせられたらなあって思った。あと、首だけ動かし、他は動かさないことで目線を強調させたり、扇だけ動かすことで扇だけ強調させたり、フォーカスを部位ごとに当てていく方法も面白かった。いわゆる演劇の物語の中でいきなりこれやっても浮くだけだけど、これを受け入れる劇の空気を作られるならばとても生きる動きになるんでないかと思いました。徹平さん、ありがとうございましたー。