カハタレ日誌

カハタレの稽古の様子

20220522「桐澤千晶ワークショップ三回目」日誌

20220522桐澤千晶「孤独の記録ワークショップ」三回目
 
ワークショップ参加者、稲垣、木嶋、桐澤、丹澤、徹平さん、南出。
パフォーマンス見にきてくれた人達、上田、木下、まりさん。
 
 
●前回までのあらすじ
桐澤千晶ファシリテート、孤独の記録から作品創作するワークショップ。
前回みんながそれぞれ作品を書いてきて、みんなのまとめようとしたけど、この短期間でまとめるのは難しくないかねって話になり、じゃあ、それぞれ、ソロで、今までの話を含めて、新しく作るか、誰かの書いた戯曲やるかで、3〜10分の孤独にまつわるパフォーマンスを発表しようではないかって、話になった。ソワソワしている一同!!
 
 
木嶋
信玄餅買ってきたよ。
 
稲垣
わー、ありがとうー、
そういえば前回木嶋さんが書いた戯曲、信玄餅出てきたけど、今年の岸田賞ノミネートされてたダウ90000の蓮見さんの戯曲も信玄餅のギミックが活かされてる戯曲だったよ、ちゃんと粉こぼしてたよ。
 
木嶋
ええーー、ダウ90000、誰かも面白がってたな。
 
稲垣
今年の岸田賞選考、ダウ90000の扱いが面白かったですね。みんな台詞の面白さ、人間関係のうまさ、絶賛なんだけど、岸田賞には押せないでいる。それをうまく説明してくれているのは岡田利規さんですよね、これを読む前と読んだ後で、自分が変わったかってことを指標にしたって、僕はすごい、太田さんのこととか考えてしまって、本当に良い審査してくれたんだなって、それで逆に言うと、蓮實さんがその感覚をもっと深めれば、とんでもない傑作戯曲がどんどん生まれるのではなかろうかって、こいつは台詞の時代が来るぞー、(本当の)
 
 
 
●なんだかんだでみんな揃って、阿弥陀籤で順番を決める。
・何故かM-1で例えるといい順位とかそう言う話ばっかしてた。
・途中からR-1っぽいって意見が飛び出してくる。
 
 
1丹澤さんの発表
 
 
丹澤
前回、木嶋さんがみんな修行中だよねって言ってて、そこから作りました。
あと、土方歳三資料館で三時間並んで刀を見たり、そのあと寺で護摩を見たり、そう言うのの影響でこう言うパフォーマンスになりました。
 
みんな
和室にあってた、
 
稲垣
前から何人か書いていた、朝起きた時の天井にうつる光の感じが見事に空間に現れててすごかった。
 
丹澤
場所の利点ですね、
 
上田
首を傾げるの、動きがほとんどない中あれだけすごい大きかった。
 
丹澤
禅修行の時に、自分から叩いてくださいって動きです。
 
みんな
ああーー、
 
桐澤
なんかすごく包んでくれてる感じがして、孤独って、ポツンと一人でいるイメージだけど、この空間全体、ここにいる人たち含めて包まれて、あたたかった。
 
木嶋
丹澤さんの呼吸に合わせたくなったよね。
 
南出
自分で作ったやつは言葉で埋めようとしていて、そういうのから離れたところで作れる勇気が本当にすごいなって思った。
 
 
 
2桐ちゃんの発表
 
 
稲垣
言葉で描かれていく様が、すごい勝負してるなって感じた。
 
南出
逆に目線で勝負してるなって感じた。身体感覚とかもすごく感じた。冷たいジュースが入っていく様とか。
 
上田
一瞬の出来事なのか、ある程度時間が経っているのか、不思議な時間感覚のところから、ジュースを飲むくだりで日常に戻ってく様が面白かった。
 
桐澤
私が以前書いたのを丹ちゃんが膨らまして書いてきてくれていて、それは客観的に捉えられてるのが面白かったんだけど、もう一度主観的なものに戻して、丹ちゃんが入れてくれた要素とかも追加したりして、なんかすごく膨らんだって感じ。
 
丹澤
今の桐ちゃんだからこそできるパフォーマンスだなって。すごく好きです、そう言うの。
 
桐澤
幸せなんだけど、これが壊れたらどうしようっていう想像からできた感じです。
 
稲垣
梅図かずおの私はしんごの扉絵思い出した。
街にぽつんと桐ちゃん一人いる感じした。
 
 
3稲垣
南出くんの前回書いてきたテキストをiPad使いながら一人でする。
テキスト↓
 
 
稲垣
南出くんの前回書いてくれた戯曲をほぼ忠実にやりました。だけどごめん、セリフ覚える時間なくて最後の一番重要なめちゃくちゃいい台詞飛ばしちゃった、本当ごめん。
あと、南出くんは徹平さんの経験したことから書いてるので、徹平→南出→今回のパフォーマンスって流れとなります。
 
南出
これ上演できんのやなあって、なるほど、書いた時は、テーブルがあってかっちりと舞台の枠を考えてたけど、最初ゴロゴロするってところから始められるんやなあって、
 
桐澤
テキスト読んだ時、部屋のシーンから電車のシーンにどう飛ぶか、一工夫いるなって思ったけど、ゴロゴロからいけんのやなあって。
あと、途中朗読劇チックに、iPadでセリフ見ながらだったけど、iPadで音も出しているから、普通にそういうパフォーマンスとして見れた。
 
丹澤
舞台上で音出すのいいよね。そういう舞台昔見た。
あと、新しく作ってこなくて、前回のテキストそのままやるってのは逆に新しいなって。
 
南出
ポテチとか炭酸の音長いの面白いよね、くどいわー、コメディセンス。
 
徹平
ポテチのところでポテチの音出す、炭酸のとこで炭酸の音出すって、安直な方法だけど、案外普段意識して聞かない音なので、新鮮な体験だった。幸せだった。
 
上田
最初の夫婦のシーンから、去って行った妻の存在が孤独てものを考える上では重要なのではないかって思った。
 
稲垣
電車のシーンで描かれてるのは、幸せそうに見える姉妹と、ポテチとか缶チューハイを電車で飲んじゃうような男、どっちも孤独見えるし、どっちも幸福にも見える。っていうか、孤独ってずっと常にあって、それがたまに顔を出したりしてるだけなんじゃないかって思ったんですよね。
そういう地下鉄電車が地上に乗り入れて最後、太陽の光が降り注いで、みんな照らされるって、南出くんが書いたの、すごいいいシーンだと思ったよね。
 
まり
ポテチの音とか炭酸の音とか異様に大きくて、稲垣くんのそれらを観察してる距離感が面白かった、我輩は猫である的というか、稲垣くんが孤独に見えた。
 
木下
実際、男のポテチ食ってる様とか、高校生のバッグに書いてる時すでにお寿司とか事細かに観察してるって、すごいなんというか、この中で一番孤独感ありますよね。
 
みんな
たしかにー。
 
 
4徹平さんの発表
 
みんな
し、仕上がってんなー、めっちゃ練習してきてますやんー、
 
徹平
演劇を作りたいって思って、音楽とかテンポ感とか意識して作りました。
でも作れば作るほど、孤独から遠ざかっていく感じがちょっとして、
 
稲垣
少し昔の演劇って感じがした、懐かしかった。
 
桐澤
ちなみにどういう風にできて行ったの?
 
徹平
前回までの書いてきたテキストで、ちょっとト書で説明しすぎやなって部分省いたり、みんなから面白いとかわからないとか聞いた話をもとに付け足した感じです。
 
上田
電車のシーンでみんな出ていくシーンすごく、なんだろう。みんないなくなっちゃうんだって寂しかった。さっき稲垣くんのやったやつにも出てきて話聞いてたから余計。
 
南出
ちゃんと身体ができているから、何をやっても見られる。すごい。
 
丹澤
あと、明るい、道化っぽいというかピエロっぽいのが逆に孤独感あった。
 
木嶋
最後のシーンぐっと込み上げてくるものがあった。
 
徹平
最後のシーンどう見えましたか?
 
上田
最初のシーンと形が似てるのでそのつながりで見ました。
破裂音てなんなんだろう、
 
木嶋
始まる序章みたいなものとして捉えたけど、
 
徹平
何かが崩れる意味合いと、実際に住んでる部屋の隣の人がトイレ流すと出る破裂音のイメージです。
 
木下
ここは護国寺交差点ってシーンがやばいなって思った。
さっきの稲垣さんのは、常に語り手がその時間軸にいるイメージなんだけど、徹平さんのは、その前までは話している間時間が止まってる。けど、ここは護国寺交差点って言葉で一気に何か変わるというか、お、なんか始まるぞって感じだった。
 
徹平
南出くんに指摘してもらったテンポ感を意識してセリフを練りました。
 
まり
七五調だったね。
 
木下
コートの感じとかも探偵感あったし、
最後のシーン、寝ているのは妻ってことになるんだろうけど、子供に接してるのかなって感じもちょっとした。
 
丹澤
私は、起きてて欲しいてニュアンスが強い感じがして、妻なんだろうなって思った。
 
稲垣
最初の「おはよう」とか最後の「おやすみ」て変哲もない言葉がなんか残ってて、そういえば、僕最近おはようって言ってるっけ?って、シンプルな言葉が響いてるのはなんか切なかった。
 
上田
最後すごい繰り返してるの、寝てるか確認しているっての、なんかそれだけ繰り返さないといけない何かがあるんだろうなって喚起させられた。
 
 
5南出くんの発表
ラップ
 
みんな
おおー、拍手ー。
 
稲垣
なんやねん、この状況、
 
南出
僕は身体もあまりできていないし、俳優経験も少ないので、自分でできることをって考えたときに、言葉遊びならって思って作った。
徹平さんのテキストの韻踏んでる部分から着想うけて、ラップにしたって感じです。
 
上田
これ、Siriは勝手にラップするの?
 
南出
そうなんですよ、なんかSiriと話してたらラップでもしましょうかって言ってきたのでじゃあ、やってもらおうかって。
 
徹平
「とめどなく」とかラップっぽい言葉入ってるの面白かった。
 
まり
ビートない感じとか絶妙にトリッキーで面白かった。次いつ歌い出すのか予想がつかなくて、突然始まるから。
とめどなく、溢れ出す、流れ出す、あたりを繰り返しているところ、なんか意味は全くわかんないんだけど、なんかこの人孤独なんだろうなって。全然わかんないんだけど、それがお祈りっぽい。
 
桐澤
全体的に内容は暗めのトーンの言葉なのが面白かった。
ああ、そうか、孤独の記録ってこういう風にできるのか、考えてみたら孤独の記録って言葉が韻踏んでるね。
 
丹澤
前回ガッキーが書いてきた、Superfly、Spotify、の雑しりとり的なものと近いものを感じた。
 
稲垣
おおー、たしかに、そことも繋がるのか!
 
 
6木嶋さんの発表
 
まり
孤独の喜びに安心した。
孤独になりたくないだけじゃない。
寂しいはネガティブだけじゃないって、安心できる。
 
上田
産道の狭さに挟まれてるのが良かった。
産道の狭さの安心感。
 
南出
言葉のセンスがすごいな。
みんな、好きなところそれぞれあると思う。
僕は動物と植物を言ってくところすごく好き。
あの世はこの世と違って実につまらないってとことか。
 
稲垣
ガリレオ思い出したよね。実に面白いの逆だーって。
 
木下
産道って言葉が出てくるたびに笑っちゃう、いい言葉だなって。
生まれてくる道のことを産道って言うってことが面白い。
お母さんのお腹の中から出てくるとか、暖かい言い方だなって、産道は言い方が少し冷めてる。
 
南出
そう言われると、お遍路さんと言うか、生まれてくるための道って感じがして面白いなあ。
 
木下
コスモス感ある。
 
徹平
全体的に美しい中に鉱物、ダイアモンド、エメラルドとか俗っぽい感じがして、人間的な感じ。そこからは逃れられない感じ。
生まれてから死ぬまで、
プーチンに聞かせたい。
いろんなこと考えて死んでくってのは幸せだなあって。
  
上田
ですます調が手記というか時空を超えてる感じがパフォーマンスとして面白かった。
事実として報告されたって感じがした。
 
まり
時空超えてる感すごかった。
遠くからやってきてる感じがした。
すごく面白かった。
 
木嶋
体験談みたいなことなのかな。
 
丹澤
あかり暗くしてよかった。
 
木嶋
明るいと恥ずかしいからね。
 
木下
ラップで会場あったまってたからね。
 
南出
テーマは生まれること死ぬことで、臭くなってしまいがちなテーマとの距離感がうまいなあって思った。
どうやって書くのか?
 
木嶋
出てくるものですね、考えると何もできなくなりますね。
 
桐澤
細くて暗いところを赤ちゃんが歩いてくる感じがして。
体内にいて、孤独じゃないように感じるけど、その時から孤独で、ずっと回ってる、生まれてくる次の命も何回も人生やりなおしたやつがまたくるみたいな。
孤独死したくないみたいなこと思ったりするけど、むしろ孤独に死にたいみたいに思えたりもするなって言う、安心感あるよな、違う角度から力強さがあるよなあって。
 
木嶋
死ぬことに関してはそれぞれの思いがあるけど、基本的には私は死ぬの怖くない、死んだら大切な人に会えるっていう喜びがある。
死の瞬間が楽しみでもあるのかなって思ってます。
みんなは死んだら無になるって思ってるんですか?
 
南出
あんまり考えていない。
 
桐澤
怖いなって考えることの方が多かった。
何もなく無くなって、ないって思った瞬間くらいに自分もなくなるかなって。
 
まり
私、主にはクラウドにバックアップされるって感覚がある。
生まれたらアクセス権があるとかないとか決まっていて、前世の記憶ある人はアクセス権はあるし、権限ロックされてない、大抵の人はアクセス権あるけど、権限ロックされてたり、そういうのがあるのかなって。
生きてる間にやったことはまたクラウドにバックアップされて、個別の魂っていう風ではなく、魂も器なんじゃないか、
 
丹澤
私全然生まれ変わり信じていない。
亡くなった人はいそうな気がするけど、自分はいなくなるって感じ。
できれば長生きしたいな。
 
上田
僕もそっちだな、最後の一人まで生き延びて、みんな死んじまっちまってよって言いたい。
できたら号泣したい、なくなった人に対してありがとうしか起こらない感じを自分にも感じたい。
泣くくらい感動したい。
一人で死んでも誰かに看取られていそうだなって、滅茶苦茶寂しがってるけど、一番賑やかなんじゃないか、死ぬ時って。
 
徹平
輪廻は信じてるけど、意識はどこに行くかって考えると、孤独というか、
死ぬ間際はリアルに想像できる、一人で仰向けになって死んでくのはリアルに想像できる、寂しいとかではなく、想像できる。
 
南出
死んだ後も自分は嫌だなって、
死んだら自分でなくなりたい、
死んだ後も自分でエッセイとか書いてたら嫌だ。
 
稲垣
僕はめっちゃ怖い、考えたくない。
無、とか、どうなっちゃうんだろって、子供の頃からやっぱ未だに考えちゃうところがある。
 
桐澤
生きてるって前提で考えることが多い時期があって、
死生観、ちょっと高いところから見てるってのが根本的なところから思い出せた。
 
木下
外部的なものとして考えていない。おじいちゃんが亡くなった時、わあみたいな、死んだらこうなるんだって、知らないものとして怖がったり、人が死んだエピソードとか、自分が死ぬ時のことを考えていない、生きることしか考えていないのかな。死にそうな時に生きることを考えることはある。どっかの寺に行って、寝て暮らしたいとか、
 
 
稲垣
なんか、いい会でしたね。やってよかったね。いや本当。

●桐澤千晶によるワークショップまとめは以下


 
●この後、山崎哲の戯曲「子供の領分」を読む、が、時間かかりすぎて、終わった後ちゃんと話したりは出来なかった。しかし、みんなノッテた。
 
・滅茶苦茶面白かった、みんな変。
・みんななんか役にあってたし、ノリに乗ってた。
・金属バット殺人事件という実際にあった事件をもとに書かれている。滅茶苦茶笑っちゃいながら読んだけど、実際に本当にあったことをもとに書かれていたりして、相当笑えないものでもある。
・とにかくやりとりが過剰に長い、そして細かい、細かいがそれに癖になる。
・なんだ、馬鹿やろーと父が練習するシーンが本当に好き。傑作戯曲だと思う。(稲垣)
 
 
●次回は、6月12日、まりさんのファシリテートのワークショップになります。
詳細が決まり次第またお知らせしますー。